先週は「インフレ再燃+中東リスク」で相場が大きく動きました。
木曜にECBが予定通り2.40%→2.65%への利上げを決定。ラガルド総裁は「インフレがまだ目標に届いていない。必要に応じてさらに引き締める用意がある」と発言し、ユーロ圏でも追加利上げが現実的な議題になっています。
そして金曜夜の米8月CPI。総合・前年比は予想通りの+3.4%でしたが、コアCPIの前月比が+0.3%と予想(+0.2%)を上振れ。ガソリン価格の前月比+3.9%上昇がエネルギー項目全体を押し上げており、フーシ派によるサウジアラビアのパイプライン攻撃という中東リスクが物価に直接波及している形です。
発表直後にドル円は154円48銭まで急騰しましたが、直後にミシガン大学消費者態度指数が47.8と予想(51.0)を大幅に下回ったことでドル買いが後退。原油価格もいったん下げたあとサウジのパイプライン閉鎖報道で反発し、相場は乱高下。153円73銭で週末クローズとなりました。
金利先物市場では来週の9月FOMC利上げが約90%織り込まれ、年内にさらにもう1回の利上げ可能性も高まったという状況で、今週を迎えます。
そして今週は、FX史に残るかもしれない1週間です。
水曜にFOMCが3年ぶりの米利上げを決定し、金曜に日銀が追加利上げ(1.25%)を決定するという、日米両中銀が同じ週に利上げするという前代未聞の可能性があります。
トレーダーruka9月1日のG20財務相会議後の会見で、ベッセント米財務長官は「アベノミクスのリフレ政策は成功した。
今はタカイチノミクスだ。日本はリフレ政策をやめるべきだ」と発言し、日銀の利上げと積極財政の見直しを公の場で名指し要求しました。
さらに「私は市場には出ない非対称な情報を持っている。胴元は私だ。私に反対して賭けたいなら構わない」とも述べ、市場に強烈な円高メッセージを発しました。
🗓 9/14(月)
21:30 🇨🇦 加 8月CPI(前年比、予想 +3.0% 前回 +3.0%)
24:15 🇪🇺 ラガルドECB総裁 発言
FOMC前の静かな週明け。ECB利上げ翌週のラガルド発言では、追加利上げへの姿勢がどこまで続くかへの言及があるかに注目。加CPIは前回と同水準の予想でサプライズは少なそうですが、カナダドルの動きに注意。
🗓 9/15(火)
FOMC(1日目)
11:00 🇨🇳 中国 8月小売売上高(前年比、予想 +0.8% 前回 +0.6%)
18:00 🇩🇪 独 9月ZEW景況感(予想 40.0 前回 34.2)
21:30 🇺🇸 米 9月NY連銀製造業景気指数(予想 14.4 前回 20.6)
FOMCが始まる1日目。市場の最大の関心は翌日の結果だけに、指標への反応は限定的になりそうです。独ZEW景況感は前回34.2から40.0への大幅改善予想で、欧州の先行き期待が高まっているかを確認。
🗓 9/16(水)
08:50 🇯🇵 日本 8月貿易収支(予想 −1兆520億円 前回 −6,345億円)
15:00 🇬🇧 英 8月CPI(前年比、予想 +3.1% 前回 +2.9%)
21:30 🇺🇸 米 8月小売売上高(前月比、予想 +0.9% 前回 −0.6%)
27:00 🇺🇸 FOMC 政策金利発表(利上げ確率約90%)
27:30 🇺🇸 ウォーシュFRB議長 定例記者会見
今週最大のイベント、FOMC。
コアCPI前月比が+0.3%と上振れした先週の結果を受けて、9月利上げの確率は約90%まで上昇しています。実現すれば2023年以来、約3年ぶりの利上げです。ただしカレンダー上の予想は据え置き(3.50〜3.75%)となっており、市場の織り込みと公式コンセンサスが乖離している珍しい状況です。
利上げが確定した場合、焦点はウォーシュ議長の会見に移ります。「これで打ち止めか、年内にもう1回あるか」というペースへの示唆が最大の関心事です。同日発表の米小売売上高が+0.9%と大幅回復予想なら「経済は強い、だから利上げできる」という論拠がさらに固まります。
日本の8月貿易収支は赤字が前回の約1.6倍に拡大する予想で、原油高と円安の影響が直撃している構造的な問題が改めて確認されます。
🗓 9/17(木)
日銀 金融政策決定会合(1日目)
18:00 🇪🇺 ユーロ圏 8月HICP改定値(前年比、予想 +3.3%)
20:00 🇬🇧 BOE 政策金利(予想 3.75% 前回 3.75%)
21:30 🇺🇸 米 9月フィラデルフィア連銀製造業指数(予想 32.8 前回 47.4)
21:30 🇺🇸 米 新規失業保険申請件数(予想 20.6万件)
日銀会合1日目。前日のFOMC結果が出た翌日という、歴史的な組み合わせの木曜です。BOEは据え置き予想ですが、8月CPIが+3.1%と加速見通しの中、声明文に利上げへの示唆が出るかどうかが注目点。フィラデルフィア連銀指数は前回47.4からの大幅低下予想で、米製造業の一服感を確認する材料に。
🗓 9/18(金)
–:– 🇯🇵 日銀 政策金利発表(予想 1.25% 前回 1.00%)
–:– 🇯🇵 日銀展望レポート
08:30 🇯🇵 日本 8月全国CPI(前年比、予想 +2.0% 前回 +1.9%)
15:30 🇯🇵 植田和男 日銀総裁 定例記者会見
今週の最終クライマックス、日銀会合。
7月賃金が前年比+4.7%という衝撃的な高水準を記録し、8月CPIも+2.0%へ到達が予想されています。1.00%→1.25%への追加利上げはほぼ既定路線とみられており、焦点は植田総裁会見での「次の利上げへのメッセージ」と「円安への見解」に移ります。
前日にFOMCが利上げを決定していた場合、「日米両中銀が同じ週に利上げ」という前代未聞の状況での日銀会見となります。FRBが引き締め、日銀も引き締めるという構図が揃えば、日米金利差の縮小スピードへの期待が高まり、円高が加速するシナリオも。
8月全国CPIが+2.0%という節目に到達すれば、日銀の中長期インフレ目標(+2%)を初めて達成したことになり、象徴的な数字として市場に意識されます。
■ 筆者のまとめ
今週は教科書に載るかもしれない週です。
FRBが3年ぶりに利上げし、日銀がわずか3カ月で2回目の利上げを実施する——そんな週が現実になりそうです。「FRBはタカ派、日銀もタカ派」という両方引き締めの局面では、単純にドル高にも円安にもなりにくい。どちらのペースが速いかという「引き締め競争」の様相を呈しています。
ドル円は先週153円台まで下落しており、6月の介入後157.94円から今週153円台まで来ています。日銀が1.25%に利上げした後、植田総裁が「さらなる引き締めに前向き」という発言をすれば、150円方向への大きな動きが始まるシナリオも視野に入ります。
今週のポイントは3つ。
- FOMCが利上げを決定して3年ぶりの米引き締め再開が確定するか
- 日銀が1.25%に利上げし植田会見で次の利上げを示唆するか
- 日本CPIが+2.0%の節目に到達して日銀の政策転換が正当化されるか
今年最大の週の一つです。ロットは最小限に、方向が出てから乗る——それだけを守って今週を乗り越えましょう。
参考リンク
OANDA証券|8月米CPI結果とドル円 コア前月比予想上振れ FOMC利上げ確率90%へ
→ https://www.oanda.jp/lab-education/market_news/uscpi-2026-aug-review/
外為どっとコム|来週のドル円見通し 9/14〜9/18 日米FOMC・日銀ダブル利上げ週
→ https://www.gaitame.com/media/entry/2026/09/12/070000
Bloomberg|8月CPI受けFOMC利上げ論拠強まる 年内追加利上げ観測も浮上
→ https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/8c6c9bab43b88fa432a6309ffb75f863f69ca1cf










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