先週は今年最大の「答え合わせ」の週でした。
水曜の米7月PCEは前年比+3.7%と市場予想(+3.6%)を上回り、6月と同水準での高止まり。インフレ圧力の根強さが改めて確認される形となり、米10年国債利回りが4.647%まで上昇、ドル円は159円44銭まで強含みました。
そして金曜夜、いよいよウォーシュFRB議長がジャクソンホールで初の基調講演。
その内容は予想以上にタカ派的でした。「最近のインフレ指標が必ずしも勇気づけられるものではなく、インフレが目標に向けて明確に、十分なスピードで改善することを確信する必要がある。さもなければ我々にはやる事がある。FRBの現在の主要な焦点が物価にあるべき」と発言し、9月利上げを強く示唆する内容となりました。 Investing.com
ドル円は159円41銭まで弱含んだのち、160円20銭まで上昇し、160円09銭で引けた。介入ラインと見られていた160円を一時突破したことで、市場に緊張が走りました。 Investing.com
一方で、ベッセント米財務長官が書簡で「無秩序な円相場が米国の金利上昇リスクになる」との見解を示したとの報道が入り、ドルは伸び悩む場面も。160円を超えてもすぐに飛んでこなかった介入への疑問と、「米財務長官が円安を牽制した」という新事実が交錯する複雑な週末クローズとなりました。
同日には雇用統計の年次ベンチマーク改定(暫定推計)も発表。これまで発表してきた雇用者数が実際よりも多く計上されていた可能性が示唆されており、来週以降のNFP解釈に影響を与えそうです。
9月利上げ観測が大幅に高まったまま、今週は最大の焦点である金曜NFPを迎えます。
トレーダーrukaジャクソンホールの内容をまとめました。
今後のシナリオを立てていきましょう。


🗓 8/31(月)
🇬🇧 英国 休場
08:50 🇯🇵 日本 7月鉱工業生産・速報値(前月比、予想 −0.7% 前回 +1.9%)
08:50 🇯🇵 日本 7月小売業販売額(前年比、予想 +3.3% 前回 +0.5%)
10:30 🇨🇳 中国 8月製造業PMI(予想 49.5 前回 49.2)
21:00 🇩🇪 独 8月CPI速報値(前年比、予想 +3.0% 前回 +2.8%)
英国休場でやや薄い月末スタート。日本の小売販売額は+3.3%予想と大幅改善見込みで、個人消費の底堅さが確認されれば日銀10月利上げ観測を支援する材料に。独CPIは+3.0%予想と加速見通しで、ECBのインフレ警戒姿勢が再び強まるシグナルになるかに注目です。
🗓 9/1(火)
18:00 🇪🇺 ユーロ圏 8月HICP速報値(前年比、予想 +3.3% 前回 +2.9%)
23:00 🇺🇸 米 8月ISM製造業景況指数(予想 55.1 前回 55.6)
23:00 🇺🇸 米 7月JOLTS求人件数(予想 731.3万件 前回 735.9万件)
ユーロ圏HICPは+3.3%予想と前回+2.9%から大幅加速見通し。ECBが2.40%に利上げした後も物価が上昇し続けているとなれば、追加利上げ観測が高まりユーロ買い材料に。ISM製造業は前回55.6から微減予想ですが、55超を維持すれば米製造業の底堅さを示し9月利上げの根拠を補強します。
🗓 9/2(水)
10:30 🇦🇺 豪 2Q GDP(前期比、予想 +0.3% 前回 +0.3%)
11:00 🇳🇿 RBNZ 政策金利(予想 2.75% 前回 2.50%)
21:15 🇺🇸 米 8月ADP雇用統計(予想 4.5万人 前回 4.4万人)
22:45 🇨🇦 カナダ銀行 政策金利(予想 2.25%)
今週前半の山場。
RBNZは2.50%→2.75%への利上げ予想で、NZ CPIが前年比+4.0%と急加速した先週の結果を受けた自然な動き。達成なら素直にNZドル買いが走りやすい局面です。
米ADPは4.5万人予想と前回からわずかな改善見通し。7月NFPが−2.3万人という衝撃的なマイナスの後だけに、8月ADPが回復を示せるかがNFP前の最大の地合い形成材料になります。ここが大幅に下振れるようなら金曜NFPへの失望が先行する展開も。
🗓 9/3(木)
21:30 🇺🇸 米 7月貿易収支(予想 −896億ドル 前回 −733億ドル)
21:30 🇺🇸 米 新規失業保険申請件数(予想 20.5万件)
23:00 🇺🇸 米 8月ISM非製造業景況指数(予想 54.1 前回 54.1)
18:00 🇪🇺 ユーロ圏 7月PPI(前年比、予想 +5.4% 前回 +4.6%)
NFP前日の木曜。ISM非製造業は前回と同水準の54.1予想で、サービス業の強さが維持されているかを確認します。9月利上げを前に「経済は強い」というコンセンサスが維持されれば、金曜NFPへの期待感が高まります。米貿易赤字は前回からの拡大予想で、ドル供給圧力の増大を示す内容になりそうです。
🗓 9/4(金)
21:30 🇺🇸 NFP 非農業部門雇用者数(予想 +5.8万人 前回 −2.3万人)
21:30 🇺🇸 米 8月失業率(予想 4.1% 前回 4.1%)
21:30 🇺🇸 米 平均時給(前年比、予想 +3.0% 前回 +3.2%)
21:30 🇨🇦 加 8月新規雇用者数(予想 +1.75万人 前回 +7.51万人)
17:50 🇬🇧 ベイリーBOE総裁 発言
今週最大のイベント、NFP。
前回7月のNFPは−2.3万人という衝撃のマイナス。今回は+5.8万人への大幅回復が予想されていますが、雇用統計の年次ベンチマーク改定でこれまでの数字が下方修正される可能性も示唆されており、単純な比較はできない状況です。
注目すべきはウォーシュ議長がジャクソンホールで9月利上げを強く示唆した直後のNFPという点。強い数字なら「9月利上げは確実」としてドル円が160円台を再び試すシナリオ、弱い数字なら「NFPが連続マイナスでは利上げできない」としてドル売り・円高が走るシナリオが交錯します。
平均時給は前年比+3.0%予想と前回+3.2%からの鈍化見通し。「雇用者数は回復、でも賃金は落ち着いている」というゴルディロックス的な数字になれば、9月利上げは難しいという解釈でドル売りになりやすい場面もあり得ます。
■ 筆者のまとめ
ウォーシュ議長のジャクソンホール講演は明確にタカ派でした。「さもなければ我々にはやる事がある」という発言で9月利上げをほぼ宣言に近い形で示唆し、ドル円は160円台に乗せました。
ただし、ベッセント財務長官が「無秩序な円相場が米国の金利上昇リスクになる」と発言したことは見逃せません。「米国自身が円安のリスクを認識している」というメッセージで、介入ゼロの中でも言葉でドルの上値を抑えようとする意図が透けて見えます。
今週のNFP次第で9月利上げの確度が決まります。強い数字が出れば15〜16日のFOMCで利上げが既定路線となり、ドル円は162〜163円方向への動きが再び現実になります。弱い数字なら利上げ観測が後退してドル売り・円高という反転も。
今週のポイントは3つ。
- NFPが+5.8万人以上に回復して9月FOMC利上げが確定的になるか
- 平均時給の鈍化と雇用改善が同時に確認されるゴルディロックスになるか
- 160円超えの場面で為替介入が来るか、それとも米財務長官の発言で抑制されるか
9月に入り、夏相場から秋相場への切り替わりのタイミングです。方向が出たら乗る、出なければ待つ。今週もそのスタンスで臨みましょう。
参考リンク
外為どっとコム|ウォーシュFRB議長講演でドル買い加速 ドル円160円台乗せ
→ https://www.gaitame.com/media/entry/2026/08/28/200000
外為どっとコム|来週のドル円見通し 8/31〜9/4 NFPに注目
→ https://www.gaitame.com/media/entry/2026/08/29/070000
大和総研|ジャクソンホール会議2026の注目点
→ https://www.dir.co.jp/report/research/economics/usa/20260820_025997.html










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