先週は「弱いデータが続いて10月利上げ観測が崩壊した」一週間でした。
火曜のJOLTS求人件数は707.9万件と予想(722.5万件)を下回り、消費者信頼感も81.9と予想(90.0)を大幅に下回りました。水曜の8月PCEコアは前年比+3.0%と予想(+3.3%)を大きく下回り、インフレ鈍化が鮮明に。一方でADP雇用統計は9.0万人と予想を上回り、ISM製造業の雇用指数も改善するなど「雇用は崩れていない」というシグナルも混在して、相場は方向感を欠きました。
そして金曜夜の9月NFPは**+2.9万人**と予想(+8.8〜10万人)を大幅に下回る衝撃の結果。失業率も4.1%→4.2%へ上昇、平均時給は前月比+0.1%(予想+0.3%)・前年比+3.0%(予想+3.2%)ともに大幅鈍化。過去2カ月も合計6万人下方修正されており、米雇用市場の悪化は本物だという印象を強く残しました。
10月FOMCでの追加利上げはメインシナリオ(確率5割超)でしたが、据え置き観測が優勢に転換。ドル円は発表直後に156.95円まで下落し、今週月曜は157円前後でのスタートとなっています。
一方でISMの価格指数は77.9へ急上昇しており、「雇用は冷えてきたが物価はまだ高い」というスタグフレーション的な構図が続いています。FRBが利下げに転じるにはインフレがまだ高すぎる、かといって利上げするには雇用が弱すぎる——という板挟みの状況が長引くリスクが高まっています。
今週は指標ラインナップとしては比較的落ち着いていますが、火曜の植田日銀総裁発言と水曜深夜のFOMC議事要旨が焦点となります。
🗓 10/5(月)
🇨🇳 中国 休場(国慶節)
17:00 🇪🇺 ユーロ圏 9月サービスPMI改定値
18:00 🇪🇺 ユーロ圏 8月PPI(前年比、予想 +7.9% 前回 +5.8%)
23:00 🇺🇸 米 9月ISM非製造業景況指数(予想 55.0 前回 55.4)
週明けは中国休場で流動性がやや薄い中、ISM非製造業に注目。前週のNFP急落後、サービス業景況感も崩れているかどうかが焦点。ここが強ければ「雇用は弱いがサービス経済は強い」という解釈で、FRBの困難なバランスが改めて示されます。
ユーロ圏PPI+7.9%予想(前回+5.8%)という急加速も見逃せません。ECBが2.65%に利上げしたにもかかわらず、川上のインフレが加速しているという構図です。
🗓 10/6(火)
🇨🇳 中国 休場(国慶節)
15:35 🇯🇵 植田和男 日銀総裁 発言
15:00 🇩🇪 独 8月製造業新規受注(前月比、予想 −1.0%)
21:30 🇺🇸 米 8月貿易収支(予想 −898億ドル)
今週前半の最注目は植田総裁発言。
NFPが+2.9万人という弱い結果を受けて米利上げ観測が後退し、ドル円が157円台に落ち着いた環境での発言になります。「FRBが動けなくなってきた今こそ、日銀の次の一手が円相場のカギを握る」という局面で、10月31日の次回会合に向けてどのようなメッセージを出すかが注目されます。前回の会合では反対票が2票あり、植田総裁の会見トーンが弱かったと市場は受け取っています。今回、より踏み込んだ発言が出れば円買い材料となりえます。
🗓 10/7(水)
🇨🇳 中国 休場(国慶節)
08:30 🇯🇵 日本 8月現金給与総額(前年比、予想 +3.7% 前回 +4.7%)
27:00 🇺🇸 FOMC 議事要旨(9月16日開催分)
今週最大の注目、FOMC議事要旨。
9月16日のFOMCでは3.75〜4.00%へ利上げを決定しましたが、その際どれほどの議論があったのかが明らかになります。NFP急落後の今、市場が最も知りたいのは「FRBは今後の利上げパスをどう考えていたか」という点。タカ派的な議論が多かったと確認されればドル買い、ハト派的な慎重論が出ていれば「FRBの利上げ終了」観測を後押しするドル売り材料になります。
日本の賃金統計は+3.7%予想と前回+4.7%から鈍化見通し。それでも3%台後半の高水準を維持できれば日銀の追加利上げの根拠として十分機能します。
🗓 10/8(木)
08:50 🇯🇵 日本 8月国際収支・貿易収支(予想 −8,031億円 前回 −3,999億円)
20:30 🇪🇺 ECB 理事会議事要旨(9月10日分)
21:15 🇬🇧 ベイリーBOE総裁 発言
21:30 🇺🇸 米 新規失業保険申請件数
日本の8月貿易収支は赤字が倍増する予想で、円安と原油高が輸入コストを直撃していることが改めて確認されます。ECB議事要旨では2.65%への利上げ決定の議論が詳らかになり、次の利上げへの意欲がどれほどあったかを確認できます。
🗓 10/9(金)
08:30 🇯🇵 日本 8月全世帯消費支出(前年比、予想 −3.6% 前回 −3.6%)
21:30 🇨🇦 加 9月新規雇用者数(予想 +0.92万人 前回 −4.17万人)
23:00 🇺🇸 米 10月ミシガン大学消費者態度指数・速報値(予想 48.0 前回 48.1)
日本の消費支出は前回と同水準のマイナス継続予想で、インフレによる実質購買力の低下が家計を直撃している状況が続いています。カナダ雇用統計は前回の大幅マイナス(−4.17万人)からの回復予想で、結果次第でカナダドルが動く局面に。
■ 筆者のまとめ
9月NFP+2.9万人——この数字が示したのは「米国の雇用市場は本格的に冷え込み始めている」という現実です。
しかしFRBはすぐに利下げに転じられるほど物価が落ち着いているわけでもない。ISM価格指数が77.9まで急上昇しており、「雇用は弱い、でも物価は高い」という最もFRBにとって難しい局面が続いています。
これがドル円にとって何を意味するかというと——「FRBが動けない間に日銀が動けば円高が加速する」という構図です。植田総裁が今週の発言で10月利上げへの踏み込みを見せれば、157円台から152〜153円方向への大きな動きが始まるシナリオも視野に入ります。
今週のポイントは3つ。
- 植田総裁が10月利上げを示唆する踏み込んだ発言をするか
- FOMC議事要旨でFRBの利上げ停止論が確認されてドル売りが加速するか
- ISM非製造業が強くて「雇用だけが弱い」という解釈になるか
ポジションは軽めに、植田発言とFOMC議事要旨という二つのイベントをしっかり確認してから動く週にしたいと思います。
参考リンク
マネースクエア|9月米雇用統計は弱め 10月利上げ観測は一段と後退
→ https://www.m2j.co.jp/market/report/114915
OANDA証券|9月米雇用統計は予想を下回る 結果の内訳と今後のドル円の見通し
→ https://www.oanda.jp/lab-education/market_news/nfp-sep-2026-review/
外為どっとコム|来週のドル円見通し 10/5〜10/9
→ https://www.gaitame.com/media/entry/2026/10/03/070000

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