日銀が1%に利上げしてわずか2週間。ドル円は再び162円台を試す展開となり、「円は下げ止まらない状況」というヘッドラインが並ぶ週末となりました。4月30日の介入前高値(160.73円)をあっさり上抜けし、介入警戒感が上値を抑えているものの、円安の基調は一切変わっていません。 Investing.com
先週の植田総裁発言(水曜)では退院後初の公式見解が示されましたが、「物価・経済情勢を見極めながら慎重に判断する」というトーンにとどまり、次の利上げ時期については明確なヒントは出ませんでした。
木曜のPCEと金曜の東京CPIは今週のブログ更新時点で確認中ですが、いずれも「インフレは継続中」という方向の数字が続いているのは間違いなさそうです。
そして今週。6月最終週から7月第1週というタイミングで、相場を動かす材料が再び重なります。
火曜19時の介入実績公表(5月分)、水曜の日銀短観+ADP+ウォーシュ発言、木曜のNFPという三つが後半に集中しており、今年上半期の締めくくりとして相場の方向感が試される週です。
🗓 6/29(月)
08:50 🇯🇵 日本 5月小売業販売額(前年比、予想 +3.0% 前回 +2.1%)
18:00 🇪🇺 ユーロ圏 6月経済信頼感(予想 94.3 前回 93.5)
26:30 🇪🇺 ラガルドECB総裁 発言
月末月初の週明けでやや落ち着いたスタート。
日本の小売販売額は+3.0%予想と前回から大幅改善見込みで、インフレ下でも個人消費が底堅いことが確認されれば日銀の追加利上げ観測を支援します。
深夜のラガルド発言はECBが今後の利下げをどう位置づけるかへの注目度が高まっています。
🗓 6/30(火)
08:50 🇯🇵 日本 5月鉱工業生産・速報値(前月比、予想 +0.7% 前回 +0.5%)
10:30 🇨🇳 中国 6月製造業PMI(予想 50.1 前回 50.0)
15:00 🇬🇧 英 1Q GDP改定値(前期比、予想 +0.6%)
19:00 🇯🇵 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)公表
23:00 🇺🇸 米 6月消費者信頼感(予想 94.3 前回 93.1)
23:00 🇺🇸 米 5月JOLTS求人件数(予想 727.5万件 前回 761.8万件)
今週前半の最大注目は火曜19時の介入実績公表(5月分)。
5月中の実際の介入額が初めて財務省から公式に公表されます。
連休中介入を含む5月分が明らかになることで、「残り弾薬がどれだけあるか」を市場が改めて計算し直す局面に。
ドル円がすでに162円台まで上昇している中での公表という点がポイントです。
「まだ余力がある」と判断されれば介入警戒が強まって上値が重くなり、「使い切りつつある」と読まれれば円売りが加速するシナリオが考えられます。
🗓 7/1(水)
🇨🇦🇭🇰 カナダ・香港 休場(カナダデー)
08:50 🇯🇵 日銀短観 大企業製造業業況判断(予想 16 前回 17)
08:50 🇯🇵 日銀短観 大企業全産業設備投資(前年度比、予想 +10.9% 前回 +3.3%)
18:00 🇪🇺 ユーロ圏 6月HICP速報値(前年比、予想 +3.0% 前回 +3.2%)
21:15 🇺🇸 米 6月ADP雇用統計(予想 11.8万人 前回 12.2万人)
22:30 🇺🇸 ウォーシュFRB議長 発言
23:00 🇺🇸 米 6月ISM製造業景況指数(予想 53.8 前回 54.0)
今週で最もイベントが密集する水曜。
朝の日銀短観に注目です。製造業業況判断は16(前回17)とわずかな低下予想ですが、1%利上げ後初の短観として企業がインフレと利上げをどう受け止めているかを確認します。
特に設備投資が前年度比+10.9%(前回+3.3%)への大幅加速予想という点は、日本企業の前向きな姿勢を示すポジティブな材料で、日銀の次の利上げを後押しするデータになりえます。
夜は欧米三大中央銀行総裁(ウォーシュ・ラガルド・ベイリー)が同じ日に発言するという異例の展開。
特にウォーシュFRB議長の発言に注目。FOMCで据え置きを決めた後の最初の公式発言として、インフレへのスタンスがどれだけ踏み込まれるかで木曜NFP前の地合いが決まります。
ユーロ圏HICPは+3.0%予想と前回+3.2%から鈍化の見通しで、ECBの追加利上げ余地が狭まるかの判断材料に。
🗓 7/2(木)
21:30 🇺🇸 NFP 非農業部門雇用者数(予想 11.5万人 前回 17.2万人)
21:30 🇺🇸 米 6月失業率(予想 4.3% 前回 4.3%)
21:30 🇺🇸 米 平均時給(前年比、予想 +3.5% 前回 +3.4%)
21:30 🇺🇸 米 新規失業保険申請件数(予想 22.0万件)
今週最大のイベント、NFP。
前回17.2万人から11.5万人への鈍化予想で、2か月連続での雇用者数減速となれば米労働市場の冷え込みが明確に。
ただし平均時給は+3.5%(前回+3.4%)とわずかながら加速予想で、「雇用は弱い、賃金は強い」というスタグフレーション的な数字になれば、FRBは利下げも利上げもしにくいという状況が続きます。
翌日は米国が独立記念日で休場のため、金曜に向けてポジション調整が入りやすい局面。
木曜夜はボラが高くなりやすいので、ロットには注意が必要です。
🗓 7/3(金)
🇺🇸 米国 休場(独立記念日)
17:00 🇪🇺 ユーロ圏 6月サービスPMI改定値(予想 48.9)
17:00 🇪🇺 ラガルドECB総裁 発言
24:00 🇬🇧 ベイリーBOE総裁 発言
米国が休場でNFP翌日という流動性の薄い一日。
前日のNFPを受けた動きの調整が入りやすく、欧州通貨中心の相場になりそうです。
ユーロ圏サービスPMIは50割れ継続の予想で、欧州の景気減速感が改めて確認される内容になりそうです。
■ 筆者のまとめ
「1%に利上げしたのに162円台」という現実が今週も続いています。
日銀が動いても円安が止まらない根本的な理由は、日米金利差が依然として2.5%以上ある構造にあり、これを変えられるのはFRBが利下げに転じるか、日銀が連続利上げを示唆するかのどちらかです。
今週はその両方の答えが出る可能性があります。
水曜のウォーシュ発言でFRBのスタンスが確認され、木曜のNFPで雇用市場の実態が明らかになる。
「雇用悪化でFRBが利下げ転換へ」という流れになれば、日米金利差縮小として初めて本格的な円高シナリオが動き出します。
今週のポイントは3つ。
- 火曜19時の介入実績で「弾薬残量」を市場がどう判断するか
- NFPが11万人を割り込んでFRBの利下げ観測に火がつくか
- 日銀短観の設備投資が+10.9%に加速して次の利上げ材料になるか
上半期最後の週、下半期の方向性を決める重要局面です。
ポジションは軽めに、木曜夜は特に注意してください。
参考リンク
みんかぶFX|ドル円、再び162円台を試す展開
→ https://fx.minkabu.jp/indicators/JP-CPI
外為どっとコム|ウォーシュFRB議長の金融政策スタンスを読む
→ https://www.gaitame.com/media/entry/2026/06/17/143234
財務省|外国為替平衡操作の実施状況
→ https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/gaitame_kawase/gaitame/intervention/

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