先週は本当に歴史的な一週間でした。
火曜日、日本銀行が半年ぶりに政策金利を1.0%へ引き上げることを決定。しかし発表後もドル円は160円台前半で推移し、円安が止まらないという不思議な展開に。
植田総裁の入院で代打に立った内田副総裁の会見が「次の利上げペースに関するヒントを一切出さない」という内容だったことが、市場に「タカ派の手がかりがない=円を売っていい」と受け取られた形です。 Minkabu FX
水曜深夜のFOMCは据え置きで通過。5月CPIは前年比4.2%と高止まりしながらも、コアは2.9%にとどまってエネルギー要因の一時性が浮き彫りに。さらに米イラン和平報道が原油を急落させ、12月の利上げ確率がFedWatchで90%近くから約60%へ急落。S&P500は1.9%高と株は素直にリスクオンで反応しました。 National Land Use Policy
ウォーシュ新議長は初の記者会見で「今後のデータを見極める」というスタンスを繰り返し、粘着質なインフレにどう対応するかは依然として不透明なままという印象を残して退場しました。 Kabutan
つまり先週で確認できたのは「日銀が利上げしてもドル円は下がらない」「FRBは動けない」という二つの現実です。
今週はその答え合わせとして、木曜のPCEと水曜の植田総裁発言が浮かび上がってきます。
🗓 6/22(月)
21:30 🇨🇦 加 5月CPI(前年比、予想 +3.0% 前回 +2.8%)
22:00 🇪🇺 ラガルドECB総裁 発言
23:00 🇪🇺 ユーロ圏 6月消費者信頼感・速報値(予想 −17.8 前回 −19.0)
週明けは落ち着いたスタート。
カナダCPIは前年比+3.0%予想と前回から加速で、カナダドルへの影響に注目。
ユーロ圏消費者信頼感は前回−19.0からの改善予想で、イラン停戦と原油安による消費者心理の回復が数字に出るかを確認する内容です。
🗓 6/23(火)
16:15 🇫🇷 仏 6月製造業PMI速報値(予想 50.0 前回 49.7)
17:00 🇪🇺 ユーロ圏 6月製造業PMI速報値(予想 51.6 前回 51.6)
17:00 🇪🇺 ユーロ圏 6月サービスPMI速報値(予想 48.6 前回 47.7)
17:30 🇬🇧 英 6月サービスPMI速報値(予想 50.0 前回 49.3)
22:45 🇺🇸 米 6月製造業PMI速報値(予想 54.6 前回 55.1)
22:45 🇺🇸 米 6月サービスPMI速報値(予想 51.0 前回 50.7)
欧米の6月PMI速報値が一斉発表される日。
注目はユーロ圏と英国のサービスPMI。いずれも前回から改善予想で、イラン停戦による心理的な回復が欧州経済に波及し始めているかを確認する局面です。
米国は製造業・サービス業ともに50超を維持しており、景気の底堅さが改めて示されれば木曜PCEへの警戒感が一段と高まります。
🗓 6/24(水)
10:30 🇦🇺 豪 5月CPI(前年比、予想 +4.3% 前回 +4.2%)
15:40 🇯🇵 植田和男 日銀総裁 発言
17:00 🇩🇪 独 6月IFO企業景況感(予想 85.5 前回 84.9)
23:00 🇺🇸 米 5月新築住宅販売件数(予想 63.8万件 前回 62.2万件)
今週最大の注目は15:40の植田総裁発言。
先週は入院・欠席により内田副総裁が代行したため、植田総裁本人の口から次の政策方針が語られるのは今回が事実上の「利上げ後の初見解」となります。
年内にさらにもう1回、早ければ10月、遅くとも12月の追加利上げが見込まれている中で、植田総裁が追加利上げの時期や条件についてどこまで踏み込むかで、ドル円は大きく動く可能性があります。
タカ派的なトーンなら円買い急進、慎重なトーンなら再び円安が加速するシナリオです。 Forex
豪CPIは+4.3%予想とRBAの利上げ余地がまだ残ることを示す内容になりそうで、豪ドルの底堅さを支える材料に。
🗓 6/25(木)
21:30 🇺🇸 米 5月PCE(前年比、予想 +4.1% 前回 +3.8%)
21:30 🇺🇸 米 5月コアPCE(前年比、予想 +3.4% 前回 +3.3%)
21:30 🇺🇸 米 1Q GDP確定値(前期比年率、予想 +1.6%)
21:30 🇺🇸 米 5月耐久財受注(前月比、予想 −5.0% 前回 +7.9%)
21:30 🇺🇸 米 新規失業保険申請件数(予想 22.5万件)
今週最大のイベント、PCE。
FRBが最も重視するインフレ指標が前年比+4.1%予想と、先月の+3.8%から大幅加速する見通しです。
5月CPIとPCEの結果次第で、ウォーシュ議長が記者会見で示したシグナルを市場が修正する余地を残している状況で、この数字が出るまで本当の意味でFRBのスタンスは確定しません。 National Land Use Policy
予想通りかそれ以上の結果なら「FRBの年内利上げ転換」が再び現実の議論として浮上し、ドル買い材料に。
逆にCPIと同様にコアが抑制されていれば(エネルギー除けば落ち着いている)、利上げ観測が後退してドル売り・リスクオンという流れに。
耐久財受注は前回+7.9%の大幅増から−5.0%への反落予想で、製造業の一時的な跳ね返しが確認される日でもあります。
🗓 6/26(金)
08:30 🇯🇵 日本 6月東京都区部CPI(生鮮除く、予想 +1.6% 前回 +1.3%)
23:00 🇺🇸 米 6月ミシガン大学消費者態度指数・確報値(予想 50.0 前回 48.9)
週の締めくくりは東京CPI。
先週1%への利上げを決めた翌週に、次の利上げへのヒントになる物価データが出るという構成です。
生鮮除くコアが+1.6%(前回+1.3%)へ加速予想で、ここが達成されれば「インフレが着実に上昇しており、追加利上げの根拠が強まっている」と市場は受け取ります。
水曜の植田総裁発言とセットで「10月利上げ」観測の強弱が決まる週末になりそうです。
■ 筆者のまとめ
先週「1%利上げしてもドル円は160円台」という現実を突きつけられた今週、市場が本当に見たいのは「次の利上げはいつか」という一点に絞られています。
水曜に植田総裁が直接それを語り、木曜のPCEでFRBの動きを確認し、金曜の東京CPIで日銀の次の弾薬を確かめる——という流れが今週の骨格です。
今週のポイントは3つ。
- 植田総裁が退院後初の発言で10月利上げを示唆するか
- PCEが+4.1%以上に加速してFRBの利上げ転換論が再燃するか
- 東京CPIが+1.6%以上に加速して次の利上げ観測を固めるか
160円台でのドル円は「介入のライン」でありながら、日銀の利上げでも下がらないという強烈な円安圧力を見せています。
この構造を変えるとしたら、FRBが利下げに転じるタイミングか、植田総裁が「年内複数回の利上げ」を明言する瞬間のどちらかです。
今週はそのヒントが出るかもしれない、注目の一週間です。
参考リンク
IG証券|日銀会合後160円 FOMCにサプライズは?
→ https://www.ig.com/jp/news-and-trade-ideas/jpy-sidesteps-after-boj-shows-little-sign-on-pace-of-rate-hikes-260616
外為どっとコム|ウォーシュFRB議長の金融政策に対する今後の見解は?
→ https://www.gaitame.com/media/entry/2026/06/17/143234
日本銀行|公表予定・総裁記者会見スケジュール
→ https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm

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