年末に近づくにつれ、市場は徐々にホリデーシーズンへと移行していきます。
特にアメリカのトレーダーは 12月中旬からクリスマス休暇に入るため、相場参加者が急減する 時期です。
そのため、普段とは違う値動きやスプレッド拡大が起こりやすくなるため、この時期は特に注意が必要です。
本記事では、2025年11月19日現在の相場環境を踏まえながら、年末までに意識したいポイント を整理してお伝えします。
🟦 年末までの“動ける期間”は限られています
アメリカ勢がホリデー入りするタイミングは、例年 12月20日前後 です。
そこからクリスマス・年末にかけては、
- 取引量の減少
- スプレッド拡大
- ダマしの急騰・急落
- 大口不在による荒れた値動き
など、リスクが高まる期間です。
📅 海外トレーダーが休暇に入るタイミング
■ 12月第二週〜第三週
- 大手ファンドが PNL確定・リスクオフに入り始める
- ボラティリティが徐々に低下し、動きに一貫性がなくなる
■ 12月20日〜25日
- 実質の「年内トレード終了」
- クリスマス前にポジション調整が完了
- FX・株ともに“大口の息が止まる”
■ 12月25日(クリスマス)
- 米国市場は休場
- この前後から機関投資家がほぼ完全に不在
- FXは動いているように見えて、実質“空気のマーケット”
■ 12月26〜31日
- 参加者が非常に少ない
- 「一方向に急伸 → すぐ戻る」「意味のない急落・急騰」が起こりやすい
- 大きなポジションは特に危険
■ 1月2日〜3日
- 市場が“本当の意味”で再開
- 流動性が戻り始め、年始のトレンドが動き出す
- “初動”を狙えるのはこのタイミング
🟦 政府閉鎖は解除されたが不確実が残る
11月12日に米政府閉鎖は正式に解除されました。
閉鎖期間中は、
- 雇用統計
- インフレ指標
- 小売売上高
- GDP関連
など、多くの経済指標が発表停止・遅延していました。
年内に注意したい“たまっていた指標”
政府閉鎖により遅延していた指標には、特に以下があります。
① 雇用統計(NFP)
9月・10月・11月の一部データに遅延が発生しており、一度に複数月分の数字が出る可能性 も指摘されています。
年末相場は参加者が少ないため、こうした“まとめて発表”は短期的な乱高下を引き起こしやすく、注意が必要です。
② CPI/PPIなどインフレ関連
こちらは閉鎖解除後に順次発表されますが、市場の織り込みが追いつきづらい時期 に重なるため反応が大きくなる傾向があります。
🟦 11月末までに必ずやっておきたい準備
① イベントカレンダーのチェック
遅延分の指標+通常の年末指標を合わせると、今年の11月〜12月前半は “情報量が多い期間” になります。
② ポジションの棚卸し
- 必要以上に抱えているポジションはないか
- 損切り・利確の整理
- 年明けに持ち越す意味があるか
を冷静にチェックする時期です。
③ ロットを落とす・ストップを適正化
12月に入ると、流動性の低下により「狩られやすい相場」になります。
年末のトレードは 利益よりもリスク管理が優先 です。
✍️ 筆者のまとめ
今回の年末相場は、例年よりも不確実性が高い状況にあります。
特にアメリカでは政府閉鎖が解除されたばかりで、遅延していた各種指標が年末にかけて一気に出てくる可能性があります。また、トランプ大統領が関わる関税政策の訴訟問題も進行しており、市場が大きく反応する場面が年内に来る可能性があります。
さらに、日本とは異なり、海外の多くの国には「三が日」という長い年始休暇がありません。
アメリカの場合は、クリスマスが最も大切な休暇であり、元日以外は早い段階で金融市場が通常運転に戻ります。
そのため、年始の相場は海外勢がすぐに戻ってくることで、トレンドの初動が出やすく、逆に年末は流動性が急激に低下しやすいという特有のリズムが生まれます。
年末年始のFXは、普段の相場とは違う“独特のクセ”があります。
この時期はむやみにポジションを持つよりも、リスクを管理しながら慎重に向き合うことが大切です。そして、来年のテーマやトレード戦略を考えるための時間として活用することで、より良いスタートを切ることができると考えています。
参考リンク
- トランプ大統領の関税訴訟(IEEPA関税を巡る最高裁審理) : Supreme Court Takes Aim at Trump’s IEEPA Tariffs(CFR)
- トランプ関税の最高裁審理で何が問われているか : What’s at Stake in the Supreme Court Tariffs Case(Brennan Center)
- 年末年始・祝日シーズンのFXはなぜ流動性が低下するのか : Should You Trade Forex During Christmas and New Year?(Blueberry Markets)
- 年末〜年始にかけてのマーケット流動性の低下と「ホリデー効果」 : The holiday trading effect: Timing, liquidity and investor behavior(Russell Investments)
- 日本の「三が日」と正月休暇(1月1〜3日)の解説 : Japanese National Holidays – New Year’s Day & New Year (Shogatsu)(Rakuten Travel Guide)

コメント