2025年8月25日、トランプ大統領は、米連邦準備制度理事会(FRB)の理事リサ・クック氏を「モーゲージ詐欺の疑い」を理由に解任すると発表しました。
クック氏は2022年にバイデン政権下で任命された初のアフリカ系黒人女性理事で、任期は本来2038年までありました。
今回の発表はアメリカ国内外の投資家・金融関係者に衝撃を与え、市場でもドル安や金利低下などの反応が見られました。

朝からドル円は約1円急落しました。今回の騒動を整理し、今後の動向に注目しましょう。
FRBは大統領の指揮下にない「独立機関」
FRBは、金融政策の中立性を守るため、政治からの独立性が重視される機関です。理事は大統領が任命しますが、議会承認を経て任期は14年と長く設定され、通常は「for cause(正当な理由)」がない限り解任できません。
トランプ大統領の主張と法的根拠
トランプ氏は「Federal Reserve Act」に基づき、重大な不正行為が認められれば大統領に解任権限があると説明。
具体的には、クック氏が過去に複数州の住宅ローン申請で「主要居住地」を二重に記載し、優遇条件を得ようとした疑いを問題視しています。
ただし法曹界や専門家の多くは、「大統領の解任権は極めて限定的で、司法で争われる可能性が高い」と指摘しています。
市場と専門家の反応
- 市場の動き:発表後、米ドルはやや弱含み、米国債の短期金利は低下しました。後任に“ハト派”の理事が指名されるとの思惑から、金やビットコインなどの安全資産に資金が移動する動きも見られます。
- 専門家の声:「FRBの独立性を揺るがす前例」「政治的圧力の強まりは長期的な金融政策への信頼を損なう」といった懸念が多く挙がっています。
今後の展開
クック氏側が法的手段を取る可能性は高く、司法判断次第ではトランプ氏の行動が無効とされる可能性もあります。
また、今回の件はFRB理事任命・解任をめぐるルールや独立性のあり方を改めて議論させるきっかけになるでしょう。
まとめ
今回の出来事は、「FRBは独立しているはずなのに、なぜ大統領が理事を解任できたのか?」という疑問を投げかけます。
背景には法的なグレーゾーンと、トランプ政権の強硬な姿勢があります。
投資家や金融に関心のある方にとっても、FRBの独立性と政策決定の安定性は重要なテーマ。



このニュースでドル円が1円急落しました。
国家と独立機関が揺らぐと、さらにドル売りが加速する可能性もあります。
さらに後任にハト派の議員が就くと相場は利下げ期待に傾きやすくなるでしょう。今後の動向に注目です。
関連記事リンク(参考用)
- Trump fires Federal Reserve Gov. Lisa Cook over mortgage fraud allegations
- Analysts react to Trump firing Fed’s Cook
- Federal Reserve Board of Governors – Wikipedia


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