リセッションとは何か
リセッション(Recession)とは、景気後退を意味する経済用語です。
一般的な定義としては「GDP(国内総生産)が2四半期連続でマイナス成長」となった状態を指します。

リセッションは本来「国内」の景気後退を指します。
ただ、アメリカのように世界経済の中心にある国がリセッションに陥ると、それは「世界的リセッション(Global Recession)」として波及します。
2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックがその典型です。
各セクターへの影響
株式市場
リセッション期には企業の売上・利益が落ち込みやすく、株価は下落基調になりやすいです。特に消費関連株や景気敏感株は打撃を受けやすい一方、防衛関連株や生活必需品株は比較的強い傾向があります。
為替市場
景気悪化に伴い利下げが進むと、**通貨安(ドル安・円安など)**に動くケースが多いです。ただし安全通貨とされるドルや円が買われることもあり、相場は複雑に動きます。
債券市場
利下げ局面では金利が下がるため、国債は買われやすく利回りは低下します。投資家が「リスク回避先」として債券を選好する動きです。
コモディティ(原油・金など)
- 原油:景気後退で需要が減り、価格は下落しやすい。
- 金(ゴールド):安全資産として需要が増し、価格は上がりやすい。
消費者への影響
リセッションは投資家だけでなく、日常生活にも大きな影響を及ぼします。
- 企業業績の悪化により、ボーナス減・給与カット・リストラが増える
- 消費マインドが冷え込み、外食・旅行・高額消費が減少
- 住宅ローンや借入返済の負担感が強まり、家計が圧迫される
- 逆に「値下げ競争」が起き、短期的にはモノの価格が下がるケースもある
👉 つまり、リセッションは「財布のひもが固くなる時代」と言えます。
人類史上最悪のリセッション(世界恐慌)
- 発端:1929年10月のニューヨーク株式市場大暴落(ブラックサーズデー)
- 規模:米国GDPは約30%縮小、失業率は25%に達した
- 世界への波及:アメリカ発の危機が全世界に伝播、各国で銀行破綻・企業倒産・失業者急増
- 期間:およそ10年以上(第二次世界大戦前まで完全回復せず)
過去のリセッション事例(年代順)
1970年代:オイルショックとスタグフレーション
- 前兆:原油価格の急騰、インフレ加速
- 結果:物価上昇と景気後退が同時進行 → 世界的な混乱
- 今との類似点:資源価格やインフレ要因が政治・地政学的リスクと直結している
2008年:リーマンショック
- 前兆:住宅バブルの崩壊、サブプライムローン問題、金融機関の過剰リスク
- 結果:金融システムが崩壊、世界的な株価暴落と失業急増
- 今との類似点:信用収縮リスク、金融市場の不安定さ
2020年:コロナショック
- 前兆:感染拡大により経済活動が急停止
- 結果:史上最速級の景気後退。ただし大規模な金融緩和と財政出動で短期的に回復
- 今との類似点:突発的な外的要因で労働市場に大きな打撃が出たこと
現在と似ているところ
- 労働市場の弱さが前兆となっている点(若年層失業率の高さなど)
- 金融政策が難しい局面にある点(利下げ織り込み済みでも景気改善せず)
- 市場の“ねじれ”反応が出ている点(ドル高・金高・株安が同時進行)



いつの時代もバブルの時は今回は違うと思うのが大衆心理、、、リッセッションの入り口と現在はそっくりだと感じています。
筆者のまとめ
リセッションは決して珍しい現象ではなく、経済のサイクルの一部として定期的に起こります。
むしろ、常に右肩上がりに成長し続ける方が不自然で、バブル(泡)のように膨らんだものは、やがて弾けて調整される。
これはある意味で経済が「健康に循環している」証拠だと私は考えています。
過去の事例を振り返っても、インフレ → 経済のゆがみ → クラッシュ → 景気後退 という流れは繰り返されてきました。
住宅バブル、原油高騰、パンデミック…きっかけは違っても、結果として「行き過ぎたものが調整される」パターンは同じです。
だからこそ、投資家に必要なのは「歴史から学ぶこと」。
バブルは永遠には続かないし、いつかは弾ける。
市場が一時的に逆の反応を示しても、指標(NFPや失業率など)を冷静に見る習慣を持つことで、次に来る波を読み解く力が身につくはずです。
リセッションは「経済にとっての嵐」のようなものですが、それを恐れるのではなく、備えるために正しく理解することが何より大切だと思います。


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