昨日は米国の生産者物価指数(PPI)が発表され、市場の注目が集まりました。
今夜はいよいよ消費者物価指数(CPI)の発表を控えており、インフレ動向を占ううえで重要な局面です。
今回は昨日のPPIの結果と市場の反応、そして今夜のCPI予想について整理し、今後のドル円・株・ゴールドの動きをどう考えるか、私自身の見解をお伝えします。
📉 昨日のPPI(生産者物価指数)の結果
指標 | 前月比(MoM) | 前年比(YoY) |
---|---|---|
全体PPI(総合・ファイナルデマンド) | −0.1%(予想 +0.3%) Trading Economics+3フィナンシャル・タイムズ+3FXStreet+3 | +2.6%(予想 +3.3%、前回 +3.1%) フィナンシャル・タイムズ+2FXStreet+2 |
コアPPI(食品・エネルギー除く) | −0.1%(予想 +0.3%) Investing.com+1 | +2.8%(予想 +3.5%、前回 +3.4%) Investing.com+1 |
- 前月比で予想外にPPIで下落。物価上昇の圧力が思ったより弱まってきている可能性。
- ただし年率ベースではまだ上昇傾向が残っており、「インフレが完全に落ち着いた」とは言い切れない。
🔍 今夜のCPI(消費者物価指数)の予想
指標 | 予想(YoY) | 備考 |
---|---|---|
総合CPI(前年比) | 約 +2.9% Reuters | 市場予想。物価圧力の残存を示す数値として注目。 |
前月比(MoM) | 約 +0.3% Reuters | 総合CPIの月次変化。先月比の変化が大きければ市場反応も強くなる。 |
市場では、8月の総合CPIが前年比 +2.9%、月次で +0.3% の上昇と予想されています。前月比での上げ幅がこの程度であれば、インフレが弱めに進行していることを確認でき、市場にとっては“利下げ観測”を後押しする材料となる可能性があります。
一方で予想を上回る結果が出れば、「インフレがまだ消費者レベルでしぶとい」という見方が強まり、ドル高・金利上昇といった反応が予想されます。
昨日のPPIを踏まえたCPIシナリオ別の相場反応
✅ 下振れした場合
もしCPIが予想より弱く出た場合、市場は“インフレが鈍化している”と受け止めます。その結果、アメリカの金利は下がりやすくなり、ドル円は円高方向へ。
株式市場にとっては金融緩和が近づく期待から買い材料となりやすく、ゴールドは実質金利の低下を背景に一段高となるでしょう。
✅ 予想通りだった場合
一方でCPIがほぼ予想通りの結果なら、市場の反応は限定的です。
大きなトレンドは出ず、次の材料となるFOMCや雇用統計を待つ“様子見相場”になる可能性が高いです。
✅ 上振れした場合
逆にCPIが予想を上回る強い結果となれば、“インフレはまだ根強い”と判断されます。金利は上昇し、ドル円は再びドル高・円安方向へ。
株式市場には利下げが遠のく失望感が広がり、ゴールドも金利上昇に押されて下落する展開が予想されます。
筆者のまとめ
直近のアメリカの指標は、雇用・失業率・消費などすべて弱い結果が続いています。昨日のPPIも予想+0.3%に対して−0.1%と、大きく下振れしました。その流れを考えると、CPIだけが良い数字になるというのは、なかなか想像しにくい状況です。
もちろん相場は常に織り込みを先行させるものなので、下落済みの部分もあります。だからこそ、「もし弱ければ」「もし予想通りなら」「もし強ければ」という複数のパターンを頭に入れてポジションを考えることが大切です。
特に今のような不透明な相場環境では、安全資産のゴールドに資金を避難させる投資家が増えやすい局面だと思います。実際、直近の雇用統計や年次改定の場面でもゴールドが吹き上がる動きが見られました。年内もこうした動きは続くのではないかと私は見ています。
なお、PPIとCPIの違いや仕組みについては、以前の記事で整理していますので、ぜひそちらもあわせてお読みください👇

コメント