昨日のADP雇用統計は予想を下回る弱い結果となりましたが、市場はドルを買うという意外な反応を見せました。
そして今夜はいよいよ日本時間21:30に NFP(非農業部門雇用統計) の発表があります。
前回は大幅な修正が行われたこともあり、今回はデータの正確性そのものに注目が集まっています。
NFP雇用統計とは?
NFP(Non-Farm Payrolls:非農業部門雇用統計)は、米労働省労働統計局(BLS) が毎月第一金曜日に発表する雇用データです。
調査内容は、農業以外の雇用者数の増減を中心に、失業率や平均時給なども含まれます。
👉 米国の景気や消費動向を映す重要な指標であり、FRBの金融政策(金利の上下)に直結するため、市場の注目度は非常に高いです
NFP雇用統計がなぜ重要か
- 米国の雇用の強さは消費・景気の土台となる。
- FRBの金融政策(金利引き上げ・引き下げ)の判断材料。
- 前回は大幅修正があり、データの信頼性そのものが問われている。
今回の数字は「修正を含めて実態を反映しているのか」が最大の焦点です。
弱ければドル売り圧力、強ければ「なぜ強いのか」に市場の視線が集まります。
前回の雇用統計(7月・8月 見通し込み)
月数 | 実際の雇用者増加数(NFP) | 前回の数字・予想との比較 |
---|---|---|
7月実績 | +73,000人 | 予想:110,000人(かなり下回る結果)FXStreetInvesting.comKiplinger |
8月見通し | ≈75,000人(予想) | 前月比ほぼ横ばい、労働市場の鈍化が続く見通しReutersKiplinger |
昨夜のADP雇用統計と市場の反応
ADPはNFPの先行指標として意識されますが、最近は必ずしも一致していません。
とはいえ、昨日の結果は市場の反応を確認するうえで重要でした。
指標 | 予想 | 結果 | 市場反応 |
---|---|---|---|
ADP雇用統計(8月分) | +6.8万人 | +5万人台(予想下回り) | ドル買い、株価は大きな下落なし、ゴールド横ばい |
通常なら「弱い雇用=ドル売り」となるはずですが、逆にドルが買われたことで、市場参加者は「NFP本番でどう反応するか」に注目しています。
トランプ大統領の意向
今回の雇用統計には、政治的な要素も絡んでいます。
トランプ大統領は「統計は正確であるべき」と強く発言し、関連機関の人事にも影響を与えてきました。
前回の大幅修正もその流れの一部と見られており、投資家は「今回のデータは本当に信頼できるのか」を注視しています。
筆者の視点 ✍️
今の相場は「数字」と「市場反応」の乖離が目立っています。
弱い数字でもドルが買われ、円も安全資産としては買われにくい状況が続いています。
私は今回の雇用統計について、もし再び大幅修正が出れば市場は「統計への不信感」を抱き、ドル売りが大幅に加速する可能性があると考えています。
一方で、強い数字が出ても素直にドル買いにはつながらず、背景や根拠が精査されるでしょう。
結局のところ、今夜は「発表された数字」だけでなく、「市場がどう解釈するか」にこそ最大の注目が集まっています。

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