✅ 雇用統計とは?
アメリカの経済指標の中でも、一番注目されるのが「雇用統計」。
「アメリカで働く人が増えているのか?減っているのか?」を数字で示すもので、景気やFRBの利上げ/利下げの判断に直結します。
ただし、雇用統計と呼ばれるものには「ADP雇用統計」と「NFP雇用統計」の2種類あります。
✅ ADP雇用統計(ADP Employment Report)
- 発表元:ADP(Automatic Data Processing)社
→ アメリカの大手給与計算会社。数千万人分の「給料データ」を持っている会社です。 - 内容:その給与データを使って、**「民間企業の雇用者数が前月からどれだけ増えたか」**を発表します。
- 特徴:
- 民間だけ → 公共(政府の雇用)は含まれない
- 発表が早い(NFPの2日前)
- 速報性が高いので「NFPの先行指標」として市場が注目
- イメージ:
→ 「給料を支払った実データから見る、アメリカ民間の雇用速報」

ADP雇用統計のデータ範囲は
民間企業の雇用(給与データを持っている範囲)のみ。
含まれないもの
公共部門(公務員)・軍人や農業など
➡️分かりやすくいうと、「アメリカの会社で働く人たち(民間)だけをカウント」しているよ。
✅ NFP(非農業部門雇用者数:Non-Farm Payrolls)
- 発表元:アメリカ労働省(BLS:Bureau of Labor Statistics)
- 内容:
農業・家庭内雇用・軍人などを除いた、**「民間+公共を合わせたアメリカ全体の雇用者数」**を調査して発表します。 - 特徴:
- 民間+公共の両方が対象
- 政府公式の調査 → 信頼度が高く、FRBや市場が最重要視
- 毎月第1金曜日に発表
- イメージ:
→ 「アメリカ政府が調査した、国全体の雇用状況の決定版」



NFP雇用統計のデータ範囲は
民間企業の雇用(製造業・サービス業など)
公共部門(=公務員:学校の先生、警察官、市役所職員など)
除外されるもの
農業従事者(季節要因が大きく景気判断に使いにくい)
家庭内雇用(メイドさんやベビーシッターなど、個人が個人を雇っているケース)
軍人(米国防省の雇用。特殊で景気動向と直結しにくい)
➡️「NFP=アメリカ経済の中心(民間サービス業+製造業+公務員)の雇用状況」を映す指標。
農業・家庭雇用・軍人は景気変動とズレやすいから除いているんです。
ADPとNFPの違いまとめ
項目 | ADP雇用統計(民間会社) | NFP(政府統計) |
---|---|---|
発表元 | ADP社(給与計算の会社) | 米労働省(BLS) |
カバー範囲 | 民間企業の雇用だけ | 民間+公共(ただし農業・家庭・軍は除外) |
発表タイミング | NFPの2日前(速報) | 毎月第1金曜(本番) |
特徴 | 実際の給与データに基づく速報値、先行指標 | 公的かつ包括的な統計、最重要指標 |
イメージ | 「給料データから見る雇用速報」 | 「政府が出す国全体の雇用調査」 |
ここで言う公共は 「政府が雇っている人=公務員」 のことです。
例:州政府の役人、学校の先生、病院の看護師(公立)、警察、消防士など。
直近の結果と今夜の予想
ADP雇用統計(直近:2025年7月分)
- 結果:+104,000人
- 予想:+77,000人(超過)
- 前回(6月):–23,000人
babypips.com+4adpemploymentreport.com+4investopedia.com+4finance.yahoo.com+6sowafinancial.com+6babypips.com+6primemarket-terminal.cominvesting.com
今夜(2025年9月4日 発表予定のADP)
- 予想値:+68,000人〜65,000人あたり
fxstreet.comfxblue.com
明日NFP(非農業部門雇用者数)の予想
- 予想値:+75,000人(8月分)
reuters.com+2fxblue.com+2
✍️ 筆者まとめ
先月の雇用統計は正直、かなり混乱するデータでした。7月分はまだ修正されていませんが、5月と6月の数字があれほど悪かったのに、7月に急に雇用が改善するとは考えにくいのです。
歴史を振り返れば、世界的な経済クラッシュの前には必ず「失業率の上昇」が訪れると言われています。
もし今月の統計で7月分の修正が出れば、ドルは一直線に売られる可能性があるでしょう。
逆に「強い雇用データ」が出た場合でも、その根拠や裏付け(エビデンス)を冷静に見極める必要があります。
一方で、AIや半導体関連を中心にアメリカ株は急騰しています。
しかしその背景には実態経済がどこまで織り込まれているのか、不透明さが残ります。株価だけがうなぎ登り、国債利回りも上昇している中で、もし雇用が悪化すればFRBは利下げに動かざるを得ません。
ところが利下げすれば再び株価が押し上げられ、相関関係が崩れ、ますますスタグフレーション(物価高+景気悪化)のリスクが高まっていく。
やはり「歴史は繰り返す」。
大衆心理に流されるよりも、過去のパターンに目を向けた方が冷静に判断できるのではないかと考えています。




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