皆さんは大暴落を経験したことはあるでしょうか。
為替の乱高下、株価の急騰、そしてメディアやSNSで“まだまだ上がる”と煽るようになり、誰も疑わなくなる。
歴史を振り返ると、どの時代も暴落の直前には同じパターンがありました。
そして今、世界は再びその“サイクル”の入り口に立っているのかもしれません。

いつの時も歴史が教えてくれます。過去を学ぶことが資産を減らさない一歩だと思います。
❶「楽観相場」──ニュースがポジティブ一色になる
暴落の直前、メディアや専門家が「景気は回復」「まだ上昇余地がある」と言い始める。
それは危険信号でもあります。
これは2007年のリーマンショック前にも同じことが起こりました。
金融機関の破綻リスクが囁かれながらも、FRB(米連邦準備制度)は「景気は底堅い」と発言し、市場は安心感に包まれていたのです。
2021年の米国株も同様でした。
S&P500が連日最高値を更新し、「永遠に上がる」とまで言われたほど。
しかし、そこから約1年後に急落が始まりました。
📍筆者メモ
今の日本市場も似ています。
「円安で株高」「外国人買いで日経上昇」──このフレーズを冷静に聞くべき。
多くの人が“上がる”と信じているとき、
実はその裏で出口を探す投資家たちが動き始めているのです。
❷「金融引き締め」──金利政策が追いつかない市場の歪み
過去の暴落前には、必ず**金融引き締め(=利上げ)**が行われていました。
金利上昇は、市場にとって“ゆっくり効く毒”です。
- 2000年:ITバブル崩壊(FRBが利上げ)
- 2008年:リーマンショック(サブプライム金利上昇)
- 2022年:インフレ抑制のための急速な利上げ → 2023年の米地銀破綻
2025年現在も、世界は同じ構図にあります。
アメリカでは高金利が長期化し、企業の資金繰りが限界に近づいています。
「利下げするしかない」段階に来たとき、市場のバランスは一気に崩れる可能性があります。
💡なぜトランプ大統領は“利下げ支持”するのか
トランプ氏は最近、「FRBはもっと早く利下げすべきだ」と主張しています。
背景には、住宅ローン金利や政府債務の負担を軽くしたい政治的狙いがあります。
しかし、インフレが完全に収まっていない段階での利下げは、
逆に通貨安や物価再上昇を招くリスクもあり、
まさに「政策と現実が噛み合っていない」状況といえるでしょう。
このように、金利政策が経済実態に追いつかないとき、相場は不安定化し、やがて“修正の波”が訪れます。
❸「実体経済の鈍化」──数字と生活の乖離が最大化する
チャート上では株高が続いているのに、実際の生活はどんどん苦しくなっている。
この「数字と実感のズレ」こそが、暴落の直前に最も大きく広がる現象です。
- 1929年 世界恐慌前:株価最高値、失業率上昇
- 1989年 バブル崩壊前:地価・株価過熱、実質賃金停滞
- 2024〜2025年:株高・円安の裏で、家計消費が低迷
「株価は景気を先取りする」と言われますが、暴落前にはむしろ**“現実と逆行”して上がる**ことが多い。
その反動は、いつも“過信”の中で起きます。
筆者のまとめ
🔸今まさに起きている“違和感”
筆者が今、最も強く感じているのは、「数字の好調」と「生活の苦しさ」が完全に乖離しているということ。
アメリカでは雇用や消費の実態が悪化しているのに、株価だけが上昇。
経済成長の実感がないまま、“上がり続ける数字”が先行しています。
それはまるで、実体のない成長に見えるのです。
🔸暴落は“終わり”ではなく“始まり”
歴史が教えてくれるのは、暴落こそが次の成長サイクルの始まりだということです。
市場が熱を持ちすぎたとき、自然と“冷ます力”が働く。
それが経済の自浄作用であり、金融の健康なリズム。
リーマンショック後にGAFAが生まれたように、混乱の後には、必ず新しい価値の創造が起こります。
経済とは、上がり続けるために下がる。
それは崩壊ではなく、“回復のサイクル”数字と現実が噛み合わなくなったとき、調整(クラッシュ)は自然なリセットとして訪れます。
💡参考リンク
- Bloomberg「過去の暴落に学ぶ市場心理」
投資家心理が暴落に与える影響を分析した解説記事。 - Morningstar「150年にわたる株式市場クラッシュの歴史」
歴史的データに基づき、クラッシュの共通点を検証。 - ResearchGate「行動心理学から見る暴落メカニズム」
群集心理・安心感の蔓延が相場にどう影響するかを心理学的に解説。 - Investopedia「トランプ氏が利下げを主張する理由とリスク」
トランプ氏の利下げ要求の背景と、金融市場への影響を詳しく分析。 - Reuters「トランプ氏、パウエル議長に大幅利下げを要求」
最新の発言内容と、市場の反応を報じたニュース。 - AP News「FRB、今年初の利下げ──インフレと政治圧力の板挟み」
FRBの動きと、トランプ政権との政策的ねじれを解説。


コメント