ISM製造業を深堀る — 最新結果・今年の動向・影響・今後予想

「ISM製造業指数 2025年10月」 「景気悪化のサインと市場の行方」

昨日は雇用統計とISMが相次いで発表されました。


雇用統計や政府閉鎖の影響で相場は一時的に上昇しても、その後すぐに下落するなど不安定な動きを見せています。


こうした中で発表されたISMも、市場の方向性を占う上で非常に重要な指標です。今回はその結果と背景について整理していきます。


目次

最新のISM製造業指数:結果と注目点

  • 2025年9月分のISM製造業PMIは 49.1% に回復(8月は48.7%) トレーディングエコノミクス+2Reuters+2 ただし50を下回る点では、依然「縮小圏」にとどまる。
  • サブ指標:
     ・生産(Production):51.0 に改善
     ・新規受注(New Orders):48.9 に低下(8月の51.4 → 9月では下振れ)
     ・雇用(Employment):45.3(8月は43.8)
     ・価格(Prices Paid):61.9(前月63.7)
     ・在庫(Inventories):47.7 などの指標も縮小傾向
トレーダーruka

注目すべきは、生産が改善に転じたことです。
ただし新規受注や輸出受注の低迷、在庫減少など「需要側の弱さ」が目立つ構造になりました。


2025年のISM動向

拡張か収縮か

つまり、2025年を通じて製造業は「縮小傾向だが時折反発試みる」形です。

需要側のバラつきとコスト圧力が重しになっているという状況が考えられます。


ISMが低迷するとどうなるか

  • 景気後退リスク:製造業の下振れはGDPの下振れ要因になる。
  • 企業投資の停滞:新規受注の積み上がりが弱ければ、設備投資を抑制する企業が増える。
  • 雇用への波及:製造部門の採用抑制・人員削減が広がれば、失業率上昇のリスク。
  • サプライチェーンの混乱:遅延、部材調達難、コスト高などが企業収益を圧迫。
  • 金融・為替への影響:金利低下、ドル下落、利下げ期待の強まり。
トレーダーruka

過去の例として、リーマンショック前後や2019年の米中貿易摩擦時には、製造PMIの急落が警戒指標になったケースもあります。


ISM製造業と非製造業の違い

  • ISM製造業(Manufacturing PMI)
     工場や生産ラインなど「モノをつくる産業」の景況感を測る指標。自動車、機械、化学品、電子部品などが対象。
     =景気の初動を映しやすく、経済の先行指標とされる。
  • ISM非製造業(Services PMI)
     サービス業や金融、小売、医療、IT、運輸など「モノ以外のサービス産業」の景況感を測る指標。
     =GDPの大半を占めるサービス業の動向を反映するため、米経済全体の強さを測る上で重要。

👉 簡単に言えば、「モノ(製造業)」と「サービス(非製造業)」を分けて調査し、それぞれの景気の強さを見ているということです。


今後のISM発表スケジュール

  • ISM製造業:毎月**月初(1日または直近の営業日)**に発表
  • ISM非製造業:その**2営業日後(今回は10月3日予定)**に発表

ADPや雇用統計と違って、ISMは民間団体(Institute for Supply Management)が独自に調査しているので、政府閉鎖(政府機関の休止)とは無関係で予定通り発表される見込みです。


今回のISMから見た非製造業の予想

  • 製造業は9月も縮小圏(49.1)で、新規受注が落ち込んだ点が気になる。
  • サービス業は直近(8月)に52.0と拡張圏を維持しており、依然として「モノよりサービスの方が強い」傾向。
  • 9月の非製造業PMIも 50を上回るが、前月よりやや下振れる可能性がある。理由は、消費マインド悪化や金利高止まりによる需要減少。

筆者のまとめ

今回のISM製造業の結果は、依然として縮小基調にあり、アメリカの製造業が停滞している印象を強めました。工場や生産ラインでは、原材料コストの上昇や関税の影響が重くのしかかり、新規受注の減少にもつながっています。


一方で、非製造業(サービス業・金融・小売など)は製造業ほど弱くなく、直近でも50前後を維持しています。とはいえ、利下げ観測や消費マインドの低下の影響を受けやすく、今後の発表は米経済全体を映す重要な指標になります。


ISMが低迷すると、企業活動の縮小や雇用の鈍化を示唆し、実体経済に悪影響を与えるだけでなく、市場に不安心理を広げます。過去のリセッション期にも、ISMの50割れが景気後退の前兆となった事例は少なくありません。


つまり、製造業はコスト増や関税圧力で停滞し、非製造業は消費や金融環境に左右されやすいという構図が、今のアメリカ経済の「二極化」を浮き彫りにしているのです。


次回発表される非製造業ISMは、サービスや金融がどの程度耐えられているのかを測る重要な材料となり、利下げ観測や株式市場の行方にも直結すると考えられます。


参考リンク

  • ISM公式サイト:ISM Report On Business(製造業・サービス業) ismworld.org+1
  • ISM PMI Reports(ISMのPMI発表一覧) ismworld.org
  • ISMの報告スケジュール:製造業は毎月第1営業日、非製造業は第3営業日 ismworld.org
  • Investopedia:ISM製造業指数の説明と構成要素解説 Investopedia
  • Trading Economics:アメリカのISM製造業指数の履歴と動向 Trading Economics
  • Wikipedia:ISM Report On Business の概要と歴史 ウィキペディア


「ISM製造業指数 2025年10月」 「景気悪化のサインと市場の行方」

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この記事を書いた人

現在、保護猫2匹と都内で暮らしています。
18歳で美容業界に就職して社会に出た後、5年ほど日本を離れ海外で生活。
会社員を辞め日本を離れ、より「お金と自由」の関係に強い関心と責任を持つようになりました。
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