💎金の歴史②|デジタル時代の“新しい金”

古代の価値からデジタル資産まで。  世界が再び「信頼の象徴」として金に注目する理由を探る。

前回の「金の歴史①」では、通貨の裏付けとしての金本位制が崩壊し、国の信用こそが通貨の価値となった歴史をたどりました。

しかし今、再び金が世界で注目されています。
市場最高値を更新し、各国が金を買い増している――。
その背景には、**「国の信用よりも実物の信頼」**を求める時代の流れがあります。

トレーダーruka

今回は、そんな現代の金の役割、そして“デジタルゴールド”へと移行しつつある未来を見ていきましょう。


目次

📉 第4章:現代の金と金融市場

1971年、アメリカのニクソン大統領がドルと金の交換停止を発表して以降、世界は「管理通貨制度(fiat money)」へと移行した。

つまり、通貨の価値はもはや金によって裏付けられず、国家の“信用”そのものが通貨の基盤となった。

それでも金は、消えることのない「信頼の象徴」として生き残っている。
戦争、インフレ、株価暴落のたびに、投資家も国家も金へと資金を逃がすのは、**“誰の負債でもない純粋な価値”**がそこにあるからだ。

金の価値を支えている要素は3つある。

  1. 希少性:地球上で採掘できる量に限界がある。
  2. 普遍性:宗教・文化・国境を超えて通用する。
  3. 独立性:どの政府・銀行のバランスシートにも属さない。

この「独立した信頼性」こそが、現代の金融不安や通貨リスクの中で再び金が脚光を浴びる理由である。


🌍 第5章:世界の金保有国ランキング(2025年)

2025年現在、各国の金保有量は次の通り。
国家の財政・通貨信頼度を測る上での“通貨の裏側”ともいえる数字だ。

順位国名保有量(トン)備考
1位🇺🇸 アメリカ約8,133世界最大。ドルの信認を支える象徴的資産
2位🇩🇪 ドイツ約3,351欧州金融の信頼基盤
3位🇮🇹 イタリア約2,452国家債務対策として長期保有
4位🇫🇷 フランス約2,437ユーロ圏の安定資産
5位🇷🇺 ロシア約2,336西側制裁以降、金保有を急拡大
6位🇨🇳 中国約2,280(推定)非公開分を含めると3,000トン超の可能性あり
7位🇨🇭 スイス約1,040世界最大の金取引市場を持つ
8位🇮🇳 インド約876伝統的に金への信仰・実需が強い

💬 注目ポイント
中国は2025年に入り、11か月連続で金を買い増している(Bloomberg報道)。
自国通貨の信頼を補強し、ドル支配から離脱する意図が背景にあるとされる。
これにより、実際の保有量は公表値を上回っている可能性が高い。

金の保有ランキングを見るとアメリカ・欧州の“金融大国”に加えてロシア・中国・インドといったBRICS諸国が確実に上位へ食い込んできている。

それは、通貨の裏付けを再び“物理的価値=金”へ戻す流れの一部でもある。


🔮 金が今後も世界を牽引する理由|BRICSの存在

BRICSとは、ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカの頭文字からなる新興国連合であり、近年は中東・アジア諸国も加盟を検討する拡大経済圏となっている。

彼らの目的は明確だ。
**「ドル依存からの脱却」と「自国資源・通貨の信頼再構築」**である。

その中核に位置するのが、金とデジタル通貨の2つの戦略。
BRICS圏では、貿易決済や外貨準備の一部を「金」によって裏付ける構想が進行中。
さらに、「金を裏付けにしたデジタル通貨」の発行も議論されている。
これは、物理的金とブロックチェーンを組み合わせた“デジタル金本位”のような仕組みだ。

一方で、ビットコインのような**「非中央集権的なデジタルゴールド」**も、その哲学や仕組みの面で金と共鳴している。

比較項目金(Gold)ビットコイン(Bitcoin)
発行上限天然資源として有限2,100万枚に固定
管理主体国家・市場分散ネットワーク
信頼の源泉歴史と実物価値暗号技術とアルゴリズム
リスク保管・盗難ハッキング・ボラティリティ
本質的価値物理的存在デジタル信頼構造

いずれも「信頼を中央に置かない」という点で共通しており、BRICSが目指す多極化する通貨秩序の中で、金とデジタル資産が新しい“価値の二軸”を形成しつつある。

⚛️ 仮想通貨が安全資産のデジタルゴールドになるには?

💡量子コンピューターが仮想通貨にもたらす脅威

量子コンピューターは、従来のコンピューターが「0 or 1」で計算するのに対し**“0と1を同時に存在させる(量子重ね合わせ)”**ことで、一度に莫大な計算を行うことができます。

これにより、従来では不可能だった暗号の解読が現実的になるのです。

⚠️ 想定されるリスク

  1. 秘密鍵の解読
     公開鍵から秘密鍵を推定できる可能性。
     (現行の楕円曲線暗号が量子アルゴリズムに弱い)
  2. ブロックチェーンの改ざん
     過去の取引データを書き換える計算が、理論的には可能に。
  3. マイニング支配
     量子マシンが圧倒的な速度でブロック生成を独占するリスク。

💬 専門的には「ショアのアルゴリズム(Shor’s Algorithm)」が有名で、
これが実用化されると現在のRSA・ECDSAなどの暗号は数時間で解読可能になると言われています。

トレーダーruka

量子コンピューター問題が“クリア”になり、量子耐性のある暗号技術(耐量子ブロックチェーン)が実用化されれば
仮想通貨=「安全に保管できる信頼資産」へと進化します。


🪙 筆者のまとめ

アメリカも金保有を増やす一方で、仮想通貨の保有量も拡大しており、いまや**「現物のゴールド」と「デジタルゴールド」**の両輪で資産を持つ時代になりました。

ただし、金の価値は“地球全体がそれを信じている”という共通認識に支えられています。
その信頼があるからこそ、希少価値が成立しているのです。

私は今後、時代の流れとしてデジタルゴールドへの移行が進むと見ています。
実際、現物の金を手にしている人はごく一部で、多くの投資家はETFやCFDなど“ペーパーゴールド”を通じて金を保有しています。
それはすでに「デジタル上の金」と同義ではないでしょうか。

金は大暴落こそ考えにくいものの、今後は一定の水準で落ち着き、“揺るがない安全資産”としての地位を保つでしょう。

アメリカの債務が膨れ上がる中、最終的な返済手段として「金を売る」という選択肢も浮上する可能性があります。
そう考えると、今の金高は“信頼だけで上がっている”という危うさもある。

だからこそ、高値掴みではなく、コツコツ積み立てること
そして、金と同じ「信頼資産」としてのデジタルゴールドにも目を向けること。
これが、これからの時代に合った資産形成だと考えています。


🔗 参考リンク



古代の価値からデジタル資産まで。  世界が再び「信頼の象徴」として金に注目する理由を探る。

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この記事を書いた人

現在、保護猫2匹と都内で暮らしています。
18歳で美容業界に就職して社会に出た後、5年ほど日本を離れ海外で生活。
会社員を辞め日本を離れ、より「お金と自由」の関係に強い関心と責任を持つようになりました。
2020年のコロナショックをきっかけに、株・為替・仮想通貨、そして地政学や経済の学びを本格的にスタート。
そんな私が、このブログでは今までの経験を活かし投資や経済の知識を、日々の生活や将来設計に役立てられるよう発信しています。
これからの時代、情報や選択肢があふれる中で、資産形成の第一歩を踏み出すためのヒントを届けたいと考えています。
多くの方が安心して未来を描けるよう、金融リテラシー向上の一助となるブログを目指しています。

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