歴史を振り返ると、大戦や大きな衝突は“偶然”ではなく、一定の周期性や構造の変化と深く結びついていることがわかります。
ここでは、学術的にもよく使われる 3つの代表的な周期モデル をもとに、世界がどのように“サイクル”を繰り返してきたのかを整理いたします。
🌍 世界大戦のサイクルは存在するのか?
🕰 ① クラウゼウィッツ型:覇権争いは約80〜100年周期で起きる
「世界の中心となる国(覇権国)」は、永続的ではありません。
歴史上、約80〜100年ごとに覇権国が入れ替わるタイミングで、大きな戦争が発生しています。
■ 歴史上の覇権交代と大規模衝突の例
| 時代 | 主要な覇権国 | 大きな衝突 |
|---|---|---|
| 1700年頃 | オランダ → イギリス | 植民地戦争・英仏戦争 |
| 1800年頃 | イギリス vs フランス | ナポレオン戦争 |
| 1900年頃 | イギリス → アメリカ/ドイツ | 第一次世界大戦 |
| 1940年頃 | アメリカ vs ドイツ/日本 | 第二次世界大戦 |
📝 約80〜100年ごとに“世界秩序がリセットされる”傾向が見られます。
📈 ② コンドラチェフ・サイクル:経済革命は50〜60年周期で訪れる
もう一つの大きな周期が、**経済の長期波動(コンドラチェフ波)**です。
こちらは技術革新と金融・経済の盛衰が“波”となり、その節目で大きな戦争や構造変化が起きやすいと考えられています。
1つのコンドラチェフ波の流れになります。
技術革新 → 成長 → 過熱 → 崩壊 → 戦争・再編 → 新技術
■ 歴史と重ねると以下の通りです
- 第一次世界大戦(1914)
蒸気機関・鉄鋼産業がピークを迎えた終盤 - 第二次世界大戦(1939)
電気・石油革命の転換点 - 現代(2020〜)
AI革命/エネルギー転換/自動化社会へ移行中
🧩 ③ トゥキディデスの罠:覇権国と台頭国の衝突
これは、覇権国に挑戦する“新興大国”が現れた時に、衝突が避けられなくなるという理論です。
歴史上、同じ構図の12例中10例が戦争に発展したとされます。
■ 現代の典型例:アメリカ vs 中国
🇺🇸 アメリカ(現在の覇権国)
- 技術覇権
- ドル覇権
- 世界の軍事・金融の中心
🇨🇳 中国(台頭する大国)
- 世界最大規模の生産力
- 人口・消費市場の巨大さ
- 半導体・AIでも急成長
トレーダーrukaこれは軍事衝突の一歩手前とされ、まさにトゥキディデスの罠の真っ只中と言える状況です。
AI・半導体・技術覇権の争いは、この構造そのものと完全に重なっています。
🔎3つのサイクルが示すこと
3つの周期モデルは視点は違いますが、結論は同じ方向に向かっています。
☑️覇権争いは約80〜100年でピークに達する
☑️技術革命は50〜60年の周期で起こり、戦争・再編を引き起こす
☑️台頭国と覇権国は高確率で衝突する
そして今の世界は…
- 第二次大戦から約80年(覇権サイクルの終盤)
- AI革命の真っ只中(技術サイクルの転換点)
- 米中対立(覇権国と台頭国の衝突)
という 3つのサイクルが重なる時期 に位置しています。



歴史的に見ると、こうした重なりが起きた時代は、大戦や新たな秩序の誕生が訪れる節目です。
✍️ 筆者のまとめ
現在の世界は、通貨価値・政治情勢・経済構造のいずれも不安定さが増しており、過去の歴史と重なるポイントが多く見られます。
SNSやスマートフォンの普及により、一般層が瞬時に膨大な情報を得られるようになったことは、これまでの時代にはなかった大きな変化です。
そのため、社会が受け取る情報量が増え、国や個人の判断が揺れやすい環境が生まれています。
ドルや円といった通貨の信頼性も問われ始め、金など実物資産に資金が移動している状況も見受けられます。
また、世界各国で政権交代や選挙が続き、政治の二極化が進むことで、国家の統一性が試される時代に入っています。
分断・デモ・抗議の増加は、社会の基盤が揺れ動いているサインだと言えます。
こうした背景を踏まえると、現在は新しい秩序へ移行する「転換期」にある可能性が高いと考えられます。
その中で、歴史のサイクルや覇権交代の理論を理解しておくことは、相場を冷静に見る助けになります。
大きな流れと重ね合わせながら現在の相場を捉えることで、短期的なニュースに振り回されず、本質を見抜く力が高まると感じています。
ぜひ、ご自身の相場観に照らし合わせながら、世界の動きを客観的に捉える一助としていただければ幸いです。
参考リンク
- IMF World Economic Outlook(世界経済見通し)
- IMF Data – 世界経済データベース
- World Gold Council(ワールド・ゴールド・カウンシル)
- CFR:米中関係タイムライン










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