本日、日本のGDPがマイナス成長となり、景気の減速が明確に示されました。
その一方で、日経平均は依然として高値圏を保っており、この乖離に戸惑う方も多いかと思います。
本記事では、GDPが示す日本経済の現状と、株価が強さを維持している背景を分かりやすく解説いたします。
投資初心者の方にも理解しやすいよう、ポイントを丁寧に整理してお伝えいたします。
GDPってなに?
🔹 GDP(国内総生産)とは
具体的には次のような活動が含まれます。
- モノを生産した
- サービスを提供した
- 輸出で稼いだ
トレーダーrukaこれらすべての金額を合計したものがGDPであり、**国全体の「売上高」**と考えるとイメージしやすくなります。
⬆️GDPが上がる=景気が良い
- 給与が上がりやすくなる
- 企業の利益が増えやすい
- 株価も上がりやすくなる
⬇️GDPが下がる=景気が悪い
- 消費が落ち込む
- 企業が投資を控える
- 設備投資が停滞する
- 失業のリスクが高まる



現在、日本は名目GDPで世界第4位の経済規模とされています。
かつては長く世界第2位でしたが、その後は中国に抜かれ、直近ではドイツにも追い越されました。
順位が下がっている背景には、長期的な低成長・デフレ傾向や人口減少に加え、為替要因による円安でドル換算のGDPが目減りしていることがあります。
世界的には依然として大きな経済大国でありながらも、その相対的な存在感は少しずつ低下している、というのが現在の立ち位置です。
本日発表された日本の7–9月期 実質GDP
最新の発表では、次のような結果となりました。
- 実質GDP:前期比 -0.4%
- 年率換算:-1.8%
- 名目GDP:+0.1%(ほぼ横ばい)
日本経済は、半年ぶりに実質でマイナス成長へと転じています。
🔹 マイナスの理由
- 住宅投資 -9.4%(金利上昇による影響)
- 輸出 -1.2%(外需の弱まり)
- 個人消費の弱さ(物価上昇に賃金が追いつかない)
→ 数字を見る限り、景気の悪化がはっきりと示されています。
では、なぜ日経平均は上がっているのでしょうか?
🔵 理由①:海外投資家による「円安+日本株買い」が継続
- 海外投資家は、日本株売買の約6割を占める主要プレーヤーです。
- 円安が進むと輸出企業の利益が膨らみ、株価が買われやすくなります。
- また、ドル建てで見ると日本株が“割安”に見えるため、海外勢の買いが入りやすくなっています。
🔵 理由②:企業の決算が堅調
- 円安の恩恵で利益が押し上げられる企業が多く存在します。
- 特に、製造業・自動車・半導体関連の決算が良好です。
- 「利益が出ている企業=株価が上がる」ため、指数が支えられています。
🔵 理由③:政策期待(高市政権)
- 半導体支援
- 防衛費増加
- インフラ・エネルギー投資
こうした政策期待が株価を押し上げています。



→ 株価は“未来の期待”を買います。一方、GDPは“今の現実”を示します。
この性質の違いが、両者のギャップを生んでいます。
日経平均はまだ上がるのか?
目線をどの期間に合わせるかで変わってきますが、市場の見方としては下記のシナリオが考えられます
🟩 【短期】→ まだ上昇が続く可能性があります
- 円安基調が継続
- 海外勢の買いが強い
- 半導体や防衛関連などのテーマ株が堅調
🟨 【中期】→ そろそろ注意が必要です
- 実体経済の悪化は、遅れて株価に影響します
- 個人消費や住宅投資の弱さは徐々に重しになります
- 来期の企業決算が弱い場合、上値が重くなる可能性があります
🟥 【長期】→ 本格的な上昇トレンドはまだ先です
- 賃金上昇が遅い
- 人口減少の加速
- 家計消費の低迷
- 構造的な改革の必要性
→ 現在の株高は「期待先行」の側面が大きいため、過度な楽観は禁物です。
筆者のまとめ
GDPは、日本という国の「売上高」にあたる非常に重要な指標です。
今回、その数字がマイナスに転じたことは、日本経済における警戒サインのひとつと考えられます。
特に、住宅投資の大幅な落ち込みと輸出の減速は、今後の景気にとって無視できないポイントです。
一方で日経平均が上昇を続けているのは、海外投資家の買いと政策期待による“株式市場だけの理由”であり、
実体経済との間には明らかにギャップが生じています。
株価と景気の乖離は、いずれどこかのタイミングで修正されます。
だからこそ、投資家の皆さまには、数字の裏側にある本質をしっかりと理解していただきたいと思います。
今回のGDPは、相場を見つめ直す大切なきっかけとなる指標でした。
参考リンク
- 日本の最新GDP速報(内閣府 経済社会総合研究所): 四半期別GDP速報 2025年7-9月期・1次速報(内閣府)
- 詳細な統計表・時系列データ: 統計表(四半期別GDP速報)2025年
- 7-9月実質GDPは年率1.8%減に関する解説記事: 7-9月実質GDPは年率1.8%減、実質GDP6期ぶりマイナス(ブルームバーグ)
- マーケットの反応・金利動向に関する記事: 国債先物反落・長期金利1.73%、GDP速報後の市場動向(ロイター)
- GDP結果を受けた専門家コメント・経済対策の見方: GDPこうみる:経済対策20兆円規模、利上げの是非に関する見解(ロイター)










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