日銀利上げでも円は買われない?|12月19日の日銀金融政策決定会合とドル主導相場の本質

利上げより“ドル”が強い理由

今月19日に予定されている日銀の金融政策決定会合を前に、市場では「利上げ織り込み」が強まっています。

しかし過去の値動きを振り返ると、
日銀が利上げしても円高に大きく振れない場面が続いているのが現実です。

本記事では、最新の政策見通しと、
私が重要だと考えている 「ドル主導で動く世界の金融市場」 という視点から、
円相場の本質をわかりやすくまとめていきます。


目次

日銀利上げ時に繰り返される“3つのパターン”

トレーダーruka

過去3回の利上げの時に相場はどんな反応をしたのか?
一緒に見ていきましょう。

2024年3月19日:マイナス金利解除(-0.1% → +0.1%)

ポイント:事前に円高 → 発表後は円安へ反転(織り込み剥がれ)

  • 報道で「3月にマイナス金利解除か?」という思惑が強まる
  • 市場は前もって円を買い、円高が進行
  • 実際の日銀発表時には「織り込み済み」
  • 材料出尽くしで円安へ反発した例

「利上げ=円高」という単純な構図が通用しなかった象徴的なケースです。

トレーダーruka

マイナス金利解除の背景は?
マイナス金利解除は、物価上昇が長く続き、賃上げも本格的に進み始めたことで「超緩和のままでは不自然」という判断が強まったために行われました。
国債市場のゆがみや銀行の収益悪化など、金融緩和の副作用も大きくなっていた時期です。
そして今回の利上げは、実に17年ぶりという歴史的な政策転換でした。


2024年7月31日:0.15%利上げ(0.10% → 0.25%)

ポイント:利上げより“外部ショック”が主役で円高に

  • 会合前から利上げ観測が強まり、事前に円高
  • 米雇用統計がネガティブサプライズ
  • 株式市場でサーキットブレーカー発動のリスクオフ
  • 為替介入観測も重なり、円買いが一気に進行

日銀の利上げそのものより、米国指標・株安などの外部要因で円高が急進行。


2025年1月24日:0.25%利上げ(0.25% → 0.50%)

ポイント:利上げ前に円高 → 利上げ後も外部ショックで円高継続

  • 12月は利上げ見送りで円安
  • 年明けから「今週利上げへ」の報道で事前に円高
  • 利上げ発表後、通常なら円安に戻りやすい場面だったが…
  • 直後にDeepSeekショック(AI銘柄暴落)
  • トランプ関税発動で世界株安 → リスク回避の円買い

ここでも主役は 日銀ではなく世界のショック でした。

トレーダーruka

DeepSeekショックとは?
中国発のAI「DeepSeek」が急速に注目され、AI市場全体に“過剰期待”と“先行き不安”が同時に広がったことで起きた急落のことです。
関連銘柄が一斉に売られ、世界の株式市場にもリスクオフが波及しました。
投資家が安全資産へ逃避したため、ドル円では円買いが加速。
結果的に日銀の利上げよりも、この外部ショックのほうが円相場に強く影響しました。


3つのケースから見える“日銀利上げ時の相場のクセ”

✔ ① 事前織り込みで円高 → 発表後に円安へ転じやすい

3月のケースのように、発表前が円高のピークになることが多い。

✔ ② 外部ショックがあると日銀材料は簡単に消える

米指標ショック、株安、AIショックなど。

✔ ③ 日銀だけの力では中長期の円高トレンドは作れない

  • 日本の利上げ幅は小さすぎる
  • 米国・欧州など主要国の金利動向の方が影響力が強い
  • 市場は「次の利上げペース」を見ており0.1〜0.25%は弱い材料

世界の金融市場を動かすのは日銀ではなく“ドル”

ドルが買われれば、日銀が利上げしても円は売られる。

ドルの強さを決めるのは

  • 米国の景気
  • FRBの金利方針
  • AI・テック企業への資金流入
  • 世界的リスクオフによる“ドルの逃避需要”

これらの影響力は、日銀の0.1〜0.25%の利上げでは太刀打ちできません。

つまり、為替の主導権は常にドルにあります。


筆者のまとめ

日銀の田村委員が、2024年12月の講演
2025年度後半には政策金利を1%程度まで引き上げる必要がある」と発言しました。
これは、日本の金融政策がいよいよ本格的に“正常化”へ向かうという大きなシグナルです。

金利が1%まで上がると、日本はようやく

  • 景気を金利で調整できる
  • 将来の利下げ余地が生まれる
  • 金利という政策手段の存在感が戻る
    といった、他の先進国と近い金融運営ができるようになります。

ただし、1%にしても円高トレンドを作るほど強い金利ではないと考えています。
結局のところ、ドルが強い限り円は上がりにくく、
為替の大きな流れは米国の景気と金利が決めるという構図は変わらない現状です。


相場を読む

相場を読むうえで大切なのは、いつの時代でも最後に価格を動かすのは人間の心理だという点です。

大衆の動きも大口の判断も、政府の決定も、その背景には必ず感情や思惑があります。

だからこそ、チャートがフィボナッチやトレンドラインに反応するのは当然で、過去の動きを検証しておくことは、自分のシナリオをつくる上で欠かせません。

今は日本がマイナス金利を解除し、アメリカは利下げへ向かうという“転換期”にあります。

このドルと円のバランスが大きく変わるタイミングでは、簡単に一方向だけを信じず、角度を持ったポジションが必要になります。

12月のFOMCと日銀会合を前に、過去の相場も確認しながら冷静に判断していくことが重要だと思います。


参考リンク


利上げより“ドル”が強い理由

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この記事を書いた人

現在、保護猫2匹と都内で暮らしています。
18歳で美容業界に就職して社会に出た後、5年ほど日本を離れ海外で生活。
会社員を辞め日本を離れ、より「お金と自由」の関係に強い関心と責任を持つようになりました。
2020年のコロナショックをきっかけに、株・為替・仮想通貨、そして地政学や経済の学びを本格的にスタート。
そんな私が、このブログでは今までの経験を活かし投資や経済の知識を、日々の生活や将来設計に役立てられるよう発信しています。
これからの時代、情報や選択肢があふれる中で、資産形成の第一歩を踏み出すためのヒントを届けたいと考えています。
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