先日、アメリカではFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、市場は「慎重な姿勢」と受け止めました。
その結果、ドルは一度売られたものの、現在は落ち着きを取り戻しています。
こうした中で、次に市場の注目が集まっているのが12月19日に予定されている日銀の金融政策決定会合です。
一部報道では
「日銀が政策金利を0.75%まで引き上げる可能性」
が伝えられており、
・本当にそこまで上げられるのか
・私たちの生活にどんな影響があるのか
・円相場や国債はどうなるのか
といった疑問を持つ方も多いと思います。
トレーダーrukaこの記事では、初心者の方にも分かるように、一つずつ丁寧に整理していきます。
① 日銀は本当に0.75%まで利上げできるのか?
結論から申し上げると、制度上は0.75%まで利上げすることは可能です。
日銀の政策金利は、法律や仕組みの上で0.75%に引き上げること自体は問題ありません。
ただし重要なのは、
「できるかどうか」と「やって大丈夫かどうか」は別という点です。
現在の日本経済は
- 賃金が十分に上がっていない
- 物価高で家計の負担が大きい
- 中小企業の体力はまだ弱い
という状況にあります。



そのため、金利だけを先に上げると、経済や生活に負担がかかりやすい状態です。
② 0.75%に上がると国民生活はどうなる?
住宅ローンへの影響
変動金利の住宅ローンを利用している方は、金利上昇の影響を受けやすくなります。
毎月の返済額がすぐに大きく増えるわけではありませんが、じわじわと負担が増えていく可能性があります。
特に、低金利の時期に住宅ローンを組んだ方は注意が必要です。



例えば1,000万円を30年ローンで借りた場合、
金利0.5%から0.75%への上昇では月1,000円程度の増加に見えます。
しかし借入額が3,000万円以上になると、
家計への影響は無視できない固定費の増加になります。
日常生活への影響
金利が上がると、
- ローンの負担が増える
- 企業の借入コストが上がる
- 設備投資や賃上げが慎重になる
といった影響が出やすくなります。
むしろ、物価高と重なると生活が少し苦しく感じられる可能性もあります。



金利が上がると、ローンや企業の負担が増え、その結果、賃上げや投資が慎重になります。
給料が増えにくい一方で、生活コストはすぐには下がらないため、国民生活は「少しずつ苦しくなる」と感じやすくなります。
③ アメリカとの金利差はどうなる?
ここは為替を見るうえでとても重要です。
仮に日本が政策金利を 0.75% に引き上げたとしても、
- アメリカの政策金利:3.50〜3.75%
- 日米の金利差:3%前後
という状況はほとんど変わりません。
つまり、
日本が利上げをしても、アメリカとの差は依然として大きい
ということです。
そのため、
- 短期的には円高に動く場面があっても
- 中長期では円安に戻りやすい構造
は続きやすいと考えられます。
④ 国債はどうなる?
金利と国債は、反対の動きをします。
- 金利が上がる
→ すでに発行されている国債の価格は下がる
特に、日本は国債の発行残高が非常に多いため、金利が少し上がるだけでも国の利払い負担が大きくなります。



日銀が急激な利上げをしにくい大きな理由にこの利払い負担が挙げられます。
⑤ なぜ今、0.75%という話が出ているのか?
背景には、
- 長期間続いた超低金利政策
- 歴史的な円安
- 「金融政策を正常化している」という姿勢を示したい
といった事情があります。



つまり今回の利上げ議論は、景気を良くするためというより、
市場へのメッセージ性が強い判断と見ることができます。
筆者のまとめ
日銀が政策金利を0.75%まで引き上げることは、制度上は可能です。
しかし、日本経済や国民生活が十分に余裕のある状態とは言い切れません。
利上げは円安を止める万能な手段ではなく、国債市場や家計への負担も伴います。
今回の日銀会合は、「利上げするかどうか」だけでなく、どこまで踏み込めるのか、どんな姿勢を示すのかが重要なポイントになるでしょう。










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