今回は、APEC(アジア太平洋経済協力)についてまとめました。
最近の日本は、日米首脳会談やASEAN会議など、外交の動きがとても活発です。
そして本日、トランプ大統領の韓国訪問をはじめ、APECが開催されるなど、世界の外交が続いています。
中でも私が注目しているのは、高市政権が繰り返し発信している「FOIP(自由で開かれたインド太平洋)」という考え方。
それは“武力ではなくルールで太平洋を守る”という、日本らしい平和的なビジョンです。
今回は、APECとFOIPという2つの視点から、日本の新しい外交の形をまとめました。
🏝️ APECとは?
1989年に設立され、アジアと太平洋地域の貿易・投資・経済成長の促進を目的としています。
メンバーは国だけでなく、香港・台湾など“地域単位”も含まれます。
法的拘束力は持たないものの、世界経済の約6割・貿易量の半分以上を占める影響力を持っています。
📜 APECの歴史 — どうやって生まれたのか?
🔹 1980年代:背景と設立
- 冷戦終結後、世界が「ブロック経済」から「地域連携」へシフトし始めた時期。
- 東アジアやオセアニアでは、経済成長が著しい国と、まだ発展途中の国が混在していた。
- 日本とオーストラリアが中心となり、「対立ではなく協力で地域を発展させる」理念のもと1989年に発足。
- 初期メンバーは12の経済主体からスタート。
トレーダーrukaAPECはアメリカ主導ではなく、「日本とオーストラリアが中心になって作った、アジアの声を形にしたフォーラム」。
つまり“アジアから世界へ”という流れの原点なんです。
ここに日本が関わった意味は大きくて、
「アジアの成長を支える国」「アメリカとアジアをつなぐ国」としての立ち位置がこの時から始まりました。
🔹 1990〜2000年代:発展と拡大
- 中国・ロシア・ベトナムなどが参加し、現在の21の経済主体へ拡大。
- 貿易・関税の自由化、物流ネットワークの整備、デジタル経済への対応など、枠組みが拡張。
- 毎年「APEC首脳会議」が開催され、地域経済や地政学リスクについて議論される場となる。
🌏 APECの参加国(21の経済主体)
| 主なメンバー国・地域 | 備考 |
|---|---|
| 日本 | 創設メンバー。アジアの調整役。 |
| アメリカ | 太平洋側の主導国。自由貿易の旗振り役。 |
| 中国 | 経済的影響力大。ルール形成で存在感を拡大。 |
| 韓国・台湾・香港 | 技術・製造分野で強み。 |
| ASEAN加盟国(6か国) | タイ・マレーシア・インドネシア・フィリピン・ベトナム・ブルネイ。 |
| オーストラリア・ニュージーランド | 設立の提唱国。 |
| カナダ・メキシコ・ペルー・チリ・ロシア | 太平洋圏の西側メンバー。 |
→ 地理的にも「太平洋を囲む国と地域」で構成されており、環太平洋経済のハブ的存在です。
⭐️日本が参加した理由
- 当時の日本は、世界第2位の経済大国。
- 日本はアジアとの信頼関係を築きたかった一方で、
アメリカとも対等に話せる「橋渡し役」を担う構想を持っていた。 - そこで、日本が“事務的な調整・資金面・実務設計”を担当し、オーストラリアと共同でAPECを立ち上げた。
🇯🇵 日本の立ち位置と役割
🔹 創設国としての信頼と責任
- 日本は1989年の設立当初からの創設メンバー。
- 経済ルール・技術協力・人材育成など、アジア側の「安定軸」として貢献してきた。
🔹 「成長を支える側」へのシフト
- 経済成長率ではASEANや中国に追い抜かれたが、
技術・環境・金融分野で**“成熟国の知見を提供する側”**へ。 - サプライチェーンの透明化やGX(グリーン転換)、AI・デジタル協力などが日本の得意分野。
🔹 FOIP(自由で開かれたインド太平洋)との連携
- 日本は「自由で開かれたインド太平洋構想(FOIP)」を推進し、
米国・ASEAN・インド・豪州と連携して地域の安定と経済発展を支える役割を担っている。 - 地政学的にも、中国とASEANの中間に立ち、調整・橋渡しをする立場。



今回のASEANや日米首脳会議で高市首相は何度も「自由で開かれたインド太平洋」と言及しました。
FOIPについて再度注目されている今、どんな構想なのか確認しましょう。
🇯🇵 FOIP(自由で開かれたインド太平洋)とは?
英語では Free and Open Indo-Pacific(FOIP)。
「アジアからアフリカまでを、法の支配・自由な貿易・安全な海洋ルートでつなげよう」という外交・安全保障の大きな構想。
⚓ FOIPの3本柱(日本政府公式より)
- 法の支配・航行の自由・平和的解決
- 経済的繁栄(貿易・インフラ・デジタル連携)
- 平和と安定のための安全保障協力
🔹 FOIP作ったのは? 原案は安倍晋三元首相(2016年)
- 2016年8月、**ケニア・ナイロビでのTICAD(アフリカ開発会議)**で、
当時の安倍首相が初めて「自由で開かれたインド太平洋構想」を世界に発表。 - 背景には、中国の「一帯一路(Belt and Road)」構想があった。
→ 中国がインフラ・港湾を通じてアジア・アフリカに影響力を拡大していた時期。 - 日本はそれに対抗し、**「自由」「法の支配」「開かれた海洋」**をキーワードに、中国依存に偏らない「もう一つの道」を提示した。
🌏 なぜ“インド太平洋”なのか
- 「アジア(太平洋)」+「インド洋」= アジアとアフリカを一体として捉える発想。
- 日本がアメリカ、インド、オーストラリア、ASEANと協力して、
“自由な貿易と安全保障”を守る連携網を作ろうという考え。 - 実際、この理念は後にアメリカ(トランプ政権)・EU・インドも支持し、
**“国際的な共通目標”**に発展している。
🪙 高市政権で再度注目されるFOIP
- 高市首相は、2025年のASEAN首脳会議・APEC関連演説などで、
FOIPを明確に外交方針の中心に据えています。 - 特に発言の中で: 「法の支配と自由な貿易を守り、インド太平洋を協力の海とする」
という表現を使っており、安倍外交の継承+女性リーダーとしての再定義を行っている。
💹 経済イベントと世界経済への影響
🔹 APEC首脳会議(年1回開催)
- 各国首脳が集まり、経済連携・貿易・デジタルルール・気候変動などを議論。
- 2025年の会合でも「サプライチェーンの安定」「AI・デジタル規制」「気候協力」がテーマに。
- 会議の声明や各国首脳発言は、為替・貿易株式市場にも影響。
🔹 経済面での具体的な影響例
| 分野 | 影響 |
|---|---|
| 貿易 | 関税緩和・輸出入拡大。物流ネットワーク強化。 |
| エネルギー | LNG・再エネ・原子力技術での連携が進む。 |
| 海洋・安全保障 | インド太平洋の海上ルートの安定化が議題。 |
| テクノロジー | AI・サイバーセキュリティ・データ共有ルール整備。 |
→ 特に、**脱中国・供給網再構築(チャイナ+1)**の流れの中で、
APECは「貿易と安全保障を両立させる舞台」として注目されています。
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