米雇用統計(Nonfarm Payrolls/NFP)は、米国の労働市場の健康状態を示す最重要経済指標のひとつです。発表内容は為替(ドル円)、株式市場、債券市場、コモディティ市場など、あらゆる金融市場に大きな影響を与えます。
特に発表直後は相場が急変動することも多く、短期トレーダーから長期投資家まで必ずチェックしておくべきデータです。この記事では、米雇用統計の基本、発表日、見方、過去の相場反応、投資戦略までを詳しく解説します。
1. 米雇用統計とは?
米雇用統計は、米国労働省労働統計局(Bureau of Labor Statistics/BLS)が毎月発表する労働市場の総合データです。特に注目される項目は以下の3つです。
- 非農業部門雇用者数(Nonfarm Payrolls/NFP):農業以外の産業での就業者数の増減
- 失業率(Unemployment Rate):労働力人口に占める失業者の割合
- 平均時給(Average Hourly Earnings):賃金上昇率を示し、インフレ傾向の判断材料になる
2. 発表日と時間
- 発表頻度:毎月1回(通常は月初の第1金曜日)
- 発表時間(日本時間):夏時間 21:30、冬時間 22:30
- 発表機関:米労働省労働統計局(BLS)
3. 数字の読み方(重要項目別)
3-1. 非農業部門雇用者数(NFP)
予想を上回る雇用増 → 景気拡大期待 → ドル高・株高になりやすい傾向。 予想を下回る雇用増/減少 → 景気減速懸念 → ドル安・株安になりやすい傾向。
3-2. 失業率
低下は労働市場の強さを示しドル高要因、高止まりや上昇は景気悪化懸念につながりドル安要因。
3-3. 平均時給
賃金上昇は消費拡大やインフレ圧力の高まりを意味し、FRBの利上げ観測を強める要因になります。
4. 過去の相場反応(例)
- 2024年7月:NFPが予想+20万人に対し実績+30万人 → ドル円+1.2円急騰
- 2025年3月:NFPが予想+18万人に対し実績+12万人 → ドル円-0.9円下落、米株上昇
5. 投資戦略と注意点
- 発表前後はスプレッドが拡大しやすい → FXは注文タイミングに注意
- 数値のサプライズ方向に短期トレード → ただし急反転も多いため利確は早め
- 長期投資ではNFP・失業率・平均時給の総合トレンドを重視
6. まとめ
米雇用統計は米経済の強さを測る“毎月の通信簿”です。非農業部門雇用者数、失業率、平均時給の3項目をセットで分析することで、市場の次の動きを予測しやすくなります。特にFRBの政策判断やインフレ見通しに直結するため、投資家にとって必須のチェック項目です。
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