昨日発表されたのは “9月の雇用統計”になります。
本来10月上旬に出るはずのデータが、米政府機関の一部閉鎖(シャットダウン)で約1カ月半遅れて公表されました。
今回のブログでは指標の発表結果と現在のアメリカ市場についてまとめてみました。
今回の雇用統計(9月分)のポイント
🟩 非農業部門雇用者数:+11.9万人
→ 予想を上回り、大幅上昇しました。
🟩 しかし「下方修正」が重要
今回の発表で、8月の数字がマイナスに修正されました。
- 8月:+2.6万人 → ▲4,000人へ下方修正
👉「夏頃から雇用は実は弱かった」という事実が判明した
数字が良さそうに見えても、過去の修正を見ると流れは緩やかに悪化している可能性があります。
失業率は4年ぶりの高水準に
雇用者数は増えたのに、失業率は **4.4% → 前月4.3%**に上昇。
🟩 なぜ“雇用増+失業率上昇”が同時に起こるのか?
以下の3つが典型的な原因です👇
① 求職者が増えた
仕事を探す人が増えると、**“働く意思はあるけれどまだ決まっていない人”**が増えるため、
失業率が上がりやすい。
② 雇用の質が変化(AI・効率化)
企業は
- 必要最低限の採用
- 人よりAIで業務効率化
を進めているため、すぐに“マッチする仕事”が見つからない人が増える。
③ 下方修正が示しているように、雇用の勢いが鈍っている
数字の“見た目の強さ”だけでは判断できない局面。
新規失業保険申請件数の結果
毎週発表される“新規失業保険”は、景気の先行指標。
今回は
- 新規申請:前週より約8,000件減少
- 継続受給者数:増加傾向
🟩 今回の新規失業保険が意味するサイン
- 新しくクビになる人は急増していない(安心)
- でも一度失業すると長く職が見つからない(不安)
→ 労働市場の下に「冷え」が広がりつつあるイメージ。
✍️ 筆者のまとめ
今回の雇用統計は、政府閉鎖が解除されてから初めての大きな指標でしたが、ドル円は上下に小さく触れただけで、明確なトレンドが出るような動きにはなりませんでした。
失業保険はじわじわと悪化していて、アメリカの雇用や景気が少しずつ疲れてきているのが数字に表れているにもかかわらず、株価や金利は上昇する―― 今年はずっとこの“矛盾した相場”が続いた一年だったように感じます。
そして、もう今年は残り1ヶ月もありません。
アメリカ勢はクリスマス頃から本格的に取引量が減り、実質的な勝負の時間は、私たちが思っている以上に短い。しかも、残りの期間にはまだ大きな指標がいくつか控えているため、ここからの相場は一つひとつのニュースで大きく揺れる可能性があります。
だからこそ、この時期は本当に気を抜けない局面です。
大きく動いた瞬間にハイレバで飛び込むと、一瞬で大ダメージを受ける相場環境でもあるので、私は今できる限りロットを下げて、レバレッジも低めに抑えていこうと思っています。
さらに、このタイミングで意識したいのが今年の利益・損失の確定です。
株のマイナスやFXのプラスなどをどう調整するのか、今年の収支をどう締めるか――ここは投資家として絶対に無視できない部分です。
いろいろな意味で今年のラストは“複数の局面が重なる”時期になるので慎重に取引していきましょう。
参考リンク
- The Employment Situation – September 2025(米労働省BLS公式:9月雇用統計の詳細と下方修正)
- US weekly jobless claims fall; continuing claims increase(ロイター:週次失業保険と政府閉鎖後の再開)
- US added 119,000 jobs in September in report delayed by federal shutdown(ガーディアン:9月雇用統計の遅延と4.4%失業率)
- U.S. employers added surprisingly solid 119,000 jobs in September(AP通信:遅延・8月マイナス修正・雇用の質のコメント)
- Labor Department confirms cancellation of October jobs report(Politico:10月分雇用統計の一部欠落と今後の扱い)
- 119,000 jobs added in September, BLS data shows(Axios:9月分+政府閉鎖による遅延の整理)

コメント