株価や金利が最高値を更新し、市場全体がやや楽観ムードに包まれているように見えます。
しかし裏側では、アメリカの失業率がじわじわと上がり始め、過去の暴落局面と似た動きが出てきています。
大口投資家が「景気後退前の最終上昇」と捉えているような動きも感じられ、相場は大きな分岐点に差しかかっている印象です。
そこで今回は、この局面で特に重要になる“サームルール”の見方をわかりやすく解説していきます。
🟦 サームルール(Sahm Rule)とは?
サームルールとは、米国のエコノミスト クラウディア・サーム(Claudia Sahm) によって考案された「失業率の上昇から景気後退入りを早期に察知する指標」 のことです。
🟦 判定ルールは“たった1つ”
🟩 12か月平均より「0.5%ポイント以上」失業率が上がると発動
例えば⬇️
- 過去12か月の失業率平均:3.6%
- 今月の失業率:4.2%
→ 0.6pt上昇 → サームルール発動
トレーダーruka0.5pt以上の上昇があればサームルール発動
= 景気後退の可能性が一気に高まる。
✅ サームルールはどこで確認する?
🔵 St. Louis Fed(FRED)— Sahm Rule リアルタイム
サームルール専用ページがあります。👉 https://fred.stlouisfed.org/series/SAHMREALTIME
- “発動ラインにどれくらい近いか” が一目でわかる
- グラフで赤色の帯が出る
- 過去の発動ポイントも確認できる
🔵 BLS(米労働省労働統計局)
アメリカの失業率の“公式発表元”です。👉 失業率(U-3)https://www.bls.gov/news.release/empsit.toc.htm
- 毎月 雇用統計(NFP)と同時に更新
- データは純正で、誤差や遅延がない
- 歴史データも全て揃っている
🟦 なぜサームルールは“強力な指標”なのか?
- 雇用は景気の最初に傷むため、反応が早い
- データ改訂の影響が少ない(確度が高い)
- 過去のリセッションを高確率で当ててきた
主な理由は3つあるが、特に失業率が上がり始める場面は企業の雇用調整が始まるタイミングで、景気悪化の初期症状として市場は敏感に反応します。
🟦 2025年、サームルールは発動するのか?
2025年は失業率がじわじわと上昇しており、発動ラインに近づいている という見方が増えています。
- 2024年の失業率平均:3.7%前後
- 2025年直近:4.2%に接近
→ データによっては 0.5pt上昇ラインに非常に近い



市場では
「ソフトランディングではなく、実は景気後退シナリオでは?」
という声も出始めています。
🟦 サームルールが発動した場合、相場はどう動く?
一般的には次のような反応が起こりやすいです。
- 株式市場:弱気に転換しやすい
- 米金利:低下(利下げ期待)
- ドル:弱含みやすい
- リスクオフ → 円高になりやすい
特にFXでは過去の相場からみると “ドル安・円高” が起きやすいため、ドル円を触るトレーダーにとっては大きなヒントになります。
✅ 筆者のまとめ
やっと米政府閉鎖が解除され、今週は重要指標が一気に出てくる流れです。
個人的には、このタイミングでサームルールが発動する可能性も見ながら、各指標をこれまで以上に厳密に追う必要があると感じています。
特に「失業率がわずかに上昇しただけでも楽観視する」のは危険で、先週のようにゴールド・株・金利が理由もなく同時に崩れた瞬間があったことを考えると、大口が一度決済した動きだった可能性も否定できません。
さらに、恐怖指数(VIX)は“高い位置”にある一方で、市場は楽観に寄っているというミスマッチが生じています。
こうした乖離が出ている時ほど、失業率悪化 → サームルール発動 → リスク資産の急落、という流れが起きやすいと見ています。
今年は全体的に上昇相場でしたが、もしもの時には“元の水準に戻る”程度の下落は十分あり得る環境です。
今後もこのブログで、指標と相場の動きを丁寧に追いながら解説していきます。
🟦 参考リンク
- Atlanta Fed – Sahm Rule Indicator
- St. Louis Fed – Sahm Rule Real-time
- Bloomberg – What Is the Sahm Rule?












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