日本時間9月30日13時(米東部時間0時)、アメリカでは新年度予算が成立しなかったため、政府機関が閉鎖されました。
アメリカの会計年度は10月1日から翌年9月30日までで、昨日をもって2025年度の予算が失効。
新しい年度の給与や運営資金を賄う予算が確保できなかったことが、今回の「資金枯渇」に直結しました。
政府の資金枯渇とはどういうこと?
「資金枯渇」とは、予算が成立せず、政府が各機関に支出できなくなる状態です。
アメリカは国債発行に依存して財政を回しており、債務水準は過去最高。
今回の閉鎖は、政治的リスクと財政赤字リスクの二重負担を映し出すものです。
統計発表や行政サービスが停止することで、市場の不信感は一段と強まっています。
✅ 「民主党の資金が枯渇」という報道はどういう意味?
- ニュースで出ている「民主党の資金が枯渇」という表現は、民主党政権が管理する予算が尽きたという意味。
- 実際には「民主党のお金」がなくなったのではなく、議会が新しい予算を承認できず、政府機関に資金を配分できない状態を指している。
- 今回は与党=民主党政権下(バイデン政権からの流れ)で起きているため、「民主党政権の資金が枯渇」と表現されたものと思われる。

👉 簡単に言うと、「民主党のお財布が空っぽになった」ではなく、「政府全体の予算が成立しなかったので、民主党政権が動かせる資金がなくなった」という意味だね。
雇用統計が延期に?!
労働省は「政府閉鎖が続けば、10月3日予定の雇用統計は延期する」と発表しました。
雇用統計はFRBの政策判断に直結する最重要データ。今年は大幅修正も続き信頼性への不安があった中での「延期」は、アメリカ経済データの信用低下を示す出来事です。
過去2013年の閉鎖時も統計が遅延しましたが、今回も歴史的に稀なインパクトといえます。
✅ 過去の雇用統計延期の事例
- 2013年(オバマ政権・政府閉鎖)
16日間の閉鎖で、9月分の雇用統計(10月4日発表予定)が延期になりました。
労働省BLS(労働統計局)の職員の多くが休職となり、統計作業が止まったため。最終的に閉鎖終了後に遅れて発表。
👉 このとき市場は「データが出ないこと自体」が不安材料になり、ドル円は乱高下しました。 - 1995–96年(クリントン政権・政府閉鎖)
21日間の閉鎖で、多数の経済統計が遅延。雇用統計も予定日に出せず、閉鎖後にまとめて発表。
👉 このときも「データの空白」が投資家心理を冷やしました。



雇用統計が遅れるのは 極めて稀。
発表が延期になると「FRBの判断材料が揃わない → 市場は先行き不透明に敏感になる」と予想されます。
トランプ大統領のシナリオを考察
トランプ氏は閉鎖を「政治カード」として利用している可能性があります。
- ドル安誘導:政府閉鎖でドル売り圧力を高め、輸出産業を支援しつつ金利上昇を抑える狙い。
- 破壊と再構築:歪んだ統計や会計を一度“リセット”し、正しい形に組み直すシナリオ。
- 選挙戦略:強硬姿勢を示すことで、大統領選へ向けて「妥協しないリーダー像」を演出。
意図の断定はできませんが、トランプ氏の一挙手一投足が市場に直結していることは明白です。
筆者のまとめ
7年ぶりの政府機関閉鎖は、単なる政治ショーではなく資金枯渇と雇用統計延期という実務に直結するインパクトを伴いました。投資家にとっては貴重な経験であり、学びの機会でもあります。
今回の延期は、これまで「良い数字」とされていた雇用データへの不信感をさらに強める出来事。トランプ大統領はデータや会計の“歪み”をあぶり出し、立て直そうとしているのかもしれません。
アメリカ政治の行方そのものよりも、トランプ氏の戦略や発言が市場をどう動かすかを俯瞰的に追うことが、これからの投資では重要になると考えています。
参考・出典リンク
- AP通信: White House budget office tells agencies to draft mass firing plans
- Reuters: US government shutdown to furlough 41% of health agency workers
- CBS News: Government shutdown latest updates
- Washington Post: Shutdown may delay jobs data release


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