ミシガン大学指標とは何か
「ミシガン大学消費者信頼感指数(University of Michigan Consumer Sentiment Index)」は、アメリカの消費者が「今の経済状況/将来の見通し・物価・雇用など」をどう感じているかを調査する月次指数です。
主な特徴⬇️
- 数百人規模の消費者アンケートを基にしていて、家計の経済状況、物価、将来のビジネス状況などを聞く。消費者調査+1
- 「現在の経済状況(Current Economic Conditions)」と「将来期待(Index of Consumer Expectations)」という2つのサブ指数を持っている。アドバイザーパースペクティブ+1
- 毎月発表され、予想(コンセンサス)を下回る/上回るかで市場の反応が出ることがある。Investing.com Canada+2FXStreet+2
昨日の結果はどうだったか
最新の9月(速報)の数字は以下の通りです
指標 | 今回(9月) | 前年同月比 |
---|---|---|
消費者信頼感総合指数 | 55.4 | 約 −21% |
現在の経済状況(Current Conditions) | 61.2 | −約3.3% |
期待感(Index of Consumer Expectations) | 51.8 | −約30.4% |
今回の結果のポイント⬇️
- 信頼感指数は市場予想よりも下振れ。予想が58.2だったところ、55.4と低い。Investing.com+2Investing.com Canada+2
- 期待感の部分の下落が大きく、将来に対する不安が強まっている。アドバイザーパースペクティブ+1
- 全体として、消費者のマインドが冷え込み傾向。SCAnet+2Reuters+2
2025年 ミシガン大学消費者信頼感指数 月別推移表
月 | 信頼感指数値 | 前月比/特徴などのメモ |
---|---|---|
1月 | 約 71.70 | 年初は比較的高め、期待感もまずまずだった時期。 |
2月 | 約 64.70 | 少し低下。インフレ・物価上昇などが意識され始める。 |
3月 | 約 57.00 | 大きめの下落。将来への期待感が急に冷え込む傾向。 |
4月 | 約 52.20 | 下落が続く。消費者のマインドが悪化、インフレ・政策不透明性が響く。 |
5月 | 約 52.20 | 4月とほぼ横ばい。だが期待感・将来予想がまだ重たい。 |
6月 | 約 60.70 | やや反発。少し回復の兆しも見えるが、局所的な要因の可能性あり。 |
7月 | 約 61.70 | 回復が続く。期待感が少し戻るが、以前の水準には遠い。 |
8月 | 約 58.20 | 下げに転じる。消費者の懸念が再燃してきている兆候。 |
9月* | 55.40 | 予想を下回り、最低値寄り。前年同月比でも大幅な低下。経済の弱さを反映。 |
市場の反応
- 指標発表後、**ドル指数(DXY)**は発表直後にセッションハイからやや下げる動きが確認されています。FXStreet+1
- 一方で長期金利(米国債などの利回り)が比較的高止まりしているため、ドルを支える材料が完全に消えたわけではないとも見られている。ナスダック+1
- 株式市場では不透明感が強まり、特に消費関連株などが敏感に反応する局面が出ています。信頼感の低下は消費支出の減少を先取りするので、投資家にとって要警戒。Reuters
指標の反応が「最近変わってきている」
ミシガン大学の指標はこれまで「注目されてはいたけれど、そこまで市場に大きなインパクトを与えるものではなかった」という印象が強かったです。
しかし、今年に入ってから次のような変化が感じられます
- 予想を下回ると、その後のドル売り(ドル安)、株安などが続くことが多くなってきた。例えば今回の55.4もそう。
- 他の指標であまり反応しなかった場合でも、消費者信頼感が下がると意外と強い動きになることがある。
- 安全資産(ゴールド、あるいは過去ならスイスフランなど)への資金移動が以前より敏感になってきていて、「心理の揺れ」が相場に早く乗るようになっている。
筆者のまとめ
今回のミシガン大学消費者信頼感の低下は、「消費者がもう耐性の限界に近づいている」サインだと思います。
物価・雇用・関税・国際情勢など、家計を圧迫する要因が重なっており、これまで見過ごされていたリスクが徐々に顕在化してきているように感じます。
指標だけでなく、「指標に対する市場の反応の変化」がこれからの相場を語る鍵になるでしょう。
「期待感」が割れるとき、相場はこれまで以上に敏感に動くようになってきている。
それは通貨価値の揺らぎ、ゴールドなど安全資産の再評価の動きにも現れているようです。
過去の歴史を学ぶことはもちろん重要ですが、今は「現場の声(consumersのマインド)」が早く市場に反映される時代になってきていて、それを無視することはできません。
だからこそ、小さなポジションでも「市場に立ち続け現場の空気を吸う」ことが私たち投資家にとってますます価値があると思います。

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